日本はペットに優しい国?キャットフードの歴史から見てみよう!

現在売られているキャットフードは、ライフステージや健康に配慮したものなどバリエーション豊かですが、ここまで発展したのは最近の話です。日本で初めてペットフードが販売されたのは、ほんの半世紀ほど前でした。それまでは各家庭で残ったご飯を与えていたので、犬や猫専用の食事を購入することは珍しかったのです。

 

各メーカーによる試行錯誤の甲斐あって、ペットフード業界は飛躍的に進歩しました。しかしその陰には廃棄物レベルの材料や、毒性の高い添加物が使われていた悲惨な過去があります。今でこそ安全配慮に厳しい目が向けられていますが、それが当たり前でない時代もあったのです。

 

今回はキャットフード及びペットフードの歴史に触れながら、日本と世界の、愛玩動物に対する考え方やスタンスの違いについても見ていきたいと思います。果たして日本はペットに優しい国なのでしょうか?

 

 

ペットフードは幕末に誕生していた

ペットフードは今から約150年前、19世紀のイギリスで生まれました。当時の船員たちは保存食のビスケットを大量に積んでいましたが、硬くて嗜好性も低かったことから帰港後は波止場に捨てるのが常でした。

 

それを食べる野良犬にヒントを得たのが、ジェームス・スプラットという米国人です。彼は小麦、野菜、肉などで犬用ビスケットを作り、1860年に製品化しました。このビスケットが、いわゆるドライフードの原型となったのです。

 

1900年代に入るとペットフード事業は急速に発展し、アメリカを中心に広まります。1930年頃には缶詰タイプのドッグフード、1950年代にはシリアル製造の技術を応用してドライフードの大量生産が可能になりました。

 

ドッグフードが大衆的存在になった頃、ようやくキャットフードが販売されるようになりました。もともと猫に食事を与える習慣がなく需要も少なかったため、当初はドッグフードを改良した雑食向けのものが多かったようです。必要とする栄養素に違いがあることが分かるようになり、徐々に猫専用のフードが作られるようになりました。

 

 

経済とともに急成長した日本国産フード

スプラット氏が犬用ビスケットを開発した100年後の1960年、初の国産ドッグフード「ビタワン」が協同飼料(現・日本ペットフード)から発売されました。じつはこの2年ほど前に、いなば食品ですでにペットフードは作られていましたが、欧米への輸出向けだったため、家庭用ペットフードの先駆けはビタワンとなるのです。

 

その後、1972年にペットラインから猫用ドライフード「キャネットチップ」が販売されました。大卒初任給の平均が52,700円だったこの時代、300gで200円で販売されていたことから見ても高級品であったことが伺えます。

 

1970年以降からはメーカーが次々と市場競争に繰り出し、世間のペットに対する関心も少しずつ高まっていきました。1980年に入ると第一次ペットブームが起き、ペットを家族同然のように扱うようになります。社会環境の変化や獣医学の技術進歩など、様々な要因が絡み合う中でペットフードは多様化していきましたが、その反面、悪質なフードもたくさん売られるようになりました。

 

 

「ペットフード安全法」はホントに安全か

転機となったのは、2007年に起きたメラミン混入事件です。毒性物質を含むフードが流通していたことが判明し、これをきっかけに「ペットフード安全法」が2009年に施行されたのです。成分規格や製造基準、表示基準などを新たに設けることで、有害なペットフードの製造、販売、輸入を禁止しました。

 

この法律により危険性は大幅に減少しましたが、品質や鮮度を保証するには至りません。加工段階で使用した添加物に関して表示義務がないので、何が使われているのか不明な点が多いのが正直なとことなのです。さらに最終加工した国を原産国としているため、実際は違う国で作られていることも考えられます。

 

緩すぎる法規制は、あってもないのと同じです。低コストを図るために誤魔化そうと思えば、いくらでも偽ることはできます。日本という国の根源にある「動物をモノとして扱う風潮」が、安全基準の生ぬるさに現れているのではないでしょうか。

 

 

私たちの選択が愛猫とフードの未来を左右する

最近では、食材や製造方法にこだわった健康志向のキャットフードへの需要が高まり、高価でも質を求める動きがあります。グレインフリーキャットフードやナチュラルフードは、ペットの健康を気遣う飼い主の間でとくに人気です。なぜなら身近に売られているフードは安全性が不透明で、心から信頼することのできないものばかりだからです。

 

動物愛護先進国のドイツやイギリスでは、ペットフードの品質管理体制が確立しています。人間が食用にできるレベルの食材のみを使い、加工処理まで厳格な基準を設けているのです。動物を人間と同じく命ある生き物として同等に対応しているからこそ、自然とこのような法律がつくられるのでしょう。

 

対する日本は未だ動物を「器物」として見なし、ペットフードはあくまで「雑貨」扱いです。こういった考え方が続く限り、動物をモノとしか見られない国の資質は変わりません。いくら経済的に豊かになったとしても、動物に対する意識が低いままでは発展途上国となんら変わりません。

 

飼い主である私たちができることは、安心なキャットフードを判断するための知識を育むことです。人間よりも早く老いていく彼らが毎日食べるものだからこそ、あなたの目でしっかりと選んであげてください。一人ひとりの小さな行動が、いつの日か社会の風向きを変えるのです。

 



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ドライ、ウェット、グレインフリーの違い
キャットフードのドライ、ウェット、グレインフリーの違いをまとめて、どれが猫にとって最適なのか考察しました。
グレインフリーとは
猫は肉食なので穀物に多く含まれる炭水化物をうまく消化することができず膵臓に負担がかかるというデメリットがあります。グレインフリーキャットフードのメリットはアレルギー対策、下痢・便秘対策、肥満予防です。選ぶ際は猫の年齢や状態に合わすことが大事です。
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賞味期限
キャットフードの賞味期限は猫が安全に美味しく食べられる時間です。ただし時間が経過すると風味や質感が劣化するので、できるだけ早めに消費することが大事です。
適正な給与量
子猫は体重に200kcalをかけた数値、成猫は体重に80kcalをかけた数値が一日必要なエネルギー量です。それを元に2〜3回に分けてキャットフードを与えるのがよいでしょう。各キャットフードの包装に100g当たりのカロリーが記載されているので、必ず参考にしてください。
酸化を防ぐ保存方法
キャットフードに含まれる脂質は酸素に触れると酸化し、猫の体内に蓄積して細胞をむしばんでいき、下痢やおう吐、発疹などの病気の原因となります。酸化をを防ぐには密封保存したり、できるだけ早く消費することが大事です。
保存場所と容器
キャットフードのドライタイプは一つの袋を長期間に渡って使用するため、適切な保存方法が必要です。また真空パックなど保存に適した容器を用いることで、品質の劣化をある程度抑えることができます。
食べない理由と対処法
猫がキャットフードを食べない理由は味の飽き・食器・環境の変化によるストレス・加齢・病気などが原因です。うまくキャットフードを食べさせるには、トッピングをつけたり、温めて臭いを強めたり、ローテーションで味に変化を混ぜたりすることです。
糞尿の臭い
臭いが強いキャットフードを食べると、その猫の糞尿の臭いも強烈になる傾向があります。茶カテキンが配合されるキャットフードは消臭効果があるのでおすすめです。ただし餌の切り替え方には気を付けてください。
フードボウル
猫が毎日使うキャットフード用のお皿(フードボウル)は、大きさ・深さ・重さ・材質の4点に注目して選びましょう。特に形状によって猫の髭があたったり、深すぎて食べにいことがあるので注意が必要です。
ねこまんま
白米に味噌汁や出汁を取った後の煮干し、かつお節、魚の骨などを混ぜた残飯がねこまんまです。ねこまんまは人間の残飯を用いるので、基本的にキャットフードの代わりにはなりません。しかし正しい知識を持って適切に作れば安全なキャットフードになります。
飽きない理由
猫は人間と比べて味覚が鈍感ですが、苦味と酸味には敏感です。子猫から与えているキャットフードは飽きないことが多いですが、湿気や鮮度などで食べなくなることがあります。飽きさせないためには猫用ふりかけやおやつをトッピングするなどの工夫も大事です。
免疫力
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