飼い猫が軟便になった時のキャットフード選びのポイント

猫も人間も、毎日のお通じが健康のバロメーターになります。チョコレート色で、固すぎず柔らかすぎないのが猫の正常な便の目安です。

 

猫はデリケートな性格なので軟便になることは珍しくありませんが、中にはキャットフードが引き起こしているケースもあることをご存知でしょうか。猫の軟便にまつわる知識を深めつつ、キャットフード選びのポイントに触れてみたいと思います。

 

 

軟便の4大パターン

軟便発症のメカニズムは大きく分けて4つに分類できます。

 

浸透圧性

腸内の浸透圧を上昇させる食べ物を摂取することで起こります。通常は腸から吸収されるはずの水分が、逆に体内の水分を腸に引き込んでしまう状態です。

 

ぜん動運動性

腸の動きが活発になり過ぎたために、消化物の移動スピードが速まり、水分吸収が不十分なうちに排出されます。

 

滲出性

腸の炎症があると、その部分から血液や粘液が滲み出して便の水分量を増やします。また腸からの水分吸収が低下することも関係します。

 

分泌性

腸内に分泌される消化液や水分が、過剰に分泌されることで引き起こされる軟便です。

 

 

キャットフードで軟便になる理由

猫が軟便になる原因として多いのがキャットフードです。穀物が主原料のものや、添加物で質の悪さを誤魔化しているものは、消化不良を発症しやすくなります。アレルギーとまではいかずとも、もともと胃腸が弱いと些細なことでもお腹がゆるくなります。保存状態の悪さも軟便を招くため、キャットフードを劣化させないように気をつけてください。

 

キャットフードを変えたことで便がゆるくなることもあります。軟便が続くと別のフードを試してみたくなるものですが、短期間のうちにコロコロ切り替えるのはNGです。キャットフードの切り替え方のコツを参考に少しづつ混ぜて与えましょう。

 

また単純に食べ過ぎが原因の場合もあります。軟便だけでなく肥満にもつながるため、必要量以上のキャットフードをせがまれても我慢しましょう。欲しがるだけ与えるのは愛情ではありません。

 

 

その他の原因

ストレス

脳と腸は密接に関係しています。これを「脳腸相関」と呼び、強いストレスや不安感によって腸の機能が低下します。引越し、近所の工事、家族の増員、模様替えなど、猫がストレスと感じるものは意外と多いものです。何か心当たりがあればそれを改善し、遊ぶ回数を増やすなどしてストレスを発散させましょう。

 

季節や気候の変化

季節の変わり目、とくに寒暖差が大きくなくなる秋から冬にかけて体調を崩しやすくなります。換毛期には、グルーミングで溜まった毛玉が腸管を傷つけることがあります。さらにホルモンバランスの影響を受ける発情期も注意しましょう。

 

年齢的なもの

消化器官が未発達な子猫は消化前に排泄してしまうので、軟便を発症しやすくなします。また加齢によって善玉菌が減少するシニア期も、お腹に不調が出やすい年頃です。食欲や元気があれば緊急性はないものの、子猫と老猫はちょっとしたことで命を落とす恐れがあります。気づいた時点で早急に病院で診てもらうと安心でしょう。

 

薬の副作用

飲み薬の副作用で軟便になる猫もいます。とくに細菌の活動を抑制する抗生物質は、腸内細菌のバランスも崩します。通常は投薬をやめれば元に戻りますが、その後も軟便が続くようれあれば医師に相談してください。

 

内臓疾患や感染

慢性的な軟便は、内臓疾患や腫瘍も視野に入れるべきです。腎不全や糖尿病を患うと水を飲む量が増え、それが軟便を引き起こしている可能性もあるでしょう。

 

寄生虫・ウイルス・細菌による感染も軟便が長引きます。免疫力のない子猫や高齢猫は死に至る病気もあるため、多頭飼いの場合は感染が拡大しないうちに対策を練る必要があります。

 

 

キャットフード選びで見るべきポイント

穀物

小麦・大豆・トウモロコシなどの穀物に含まれる食物繊維は、少量であれば問題ありませんが主原料となると話は別です。穀物メインでも支障のない猫もいますが、すでに軟便になっているなら避けておきたいところです。気になる人はグレインフリーキャットフードおすすめランキングを参考にしてください。

 

添加物

保存料や着色料などの添加物が、胃腸に負担をかける場合もあります。添加物の中にはアレルギーや発がん性が懸念されているものあるので、無添加で安全なキャットフードが好ましいでしょう。

 

脂質

便秘解消に効果的な脂質ですが、量が多過ぎると軟便を招きます。成猫の場合15~20%が適正とされていますが、少しずつ脂質が少ないものに切り替えてみるのも有効です。

 

動物性タンパク質

猫がもっとも消化吸収しやすい栄養源は、動物性タンパク質です。原材料欄の一番最初に、肉や魚が記載されているものがおすすめです。ただし「ミートミール」「副産物」と書かれている場合は、品質の低い材料を使用している危険性があります。

 

 

体質に合うキャットフードは必ずある

病院に行っても原因が特定できない軟便は厄介です。長期化すればするほど、飼い主の精神的負担も重くなります。キャットフードの切り替えで改善できることが多いですが、そこに至るまでには根気と労力が必要になります。

 

しかし最近はキャットフードの多様化に伴い、消化吸収率を高めた商品も数多く登場しています。粘り強く探し続けていれば、愛猫の体質に合うフードがきっと見つかるはずです。

 



にゃん事典トップページへのリンク

関連ページ

尿路結石
猫の尿が酸性またはアルカリ性になると結石ができるのが尿路結石です。膀胱や尿道を傷つけるだけでなく、尿道閉塞になって死に至る危険性もあります。pHコントロール系のキャットフードや水を与えることで改善します。
便秘
水をあまり飲まない猫は便秘になりやすい傾向があります。食物繊維が豊富に含まれている毛玉ケア用キャットフードを与えたり、ブラッシングをすることで便秘の予防になります。
腎臓病
猫は人間ほど腎臓が強くないので、高齢になると腎不全などの病気を発症しやすいです。腎臓病になった場合は獣医師の指示のもとロイヤルカナンやプリスクリプション・ダイエットなどの療法食を与えましょう。
毛玉
猫はグルーミング(毛づくろい)をすることで毎日一定の毛が胃の中に入り込みます。少量であれば糞とともに排泄されますが、量が多すぎると吐き出していまします。そのため毛玉ケア(ヘアボール)コントロールキャットフードがあります。
吐く
猫が吐く原因の多くは毛玉ですが、キャットフードの成分にアレルギー反応を示したり、餌の切り替えがうまくいかなかった可能性もあります。しかし重大な病気の危険性もあるので、症状によっては獣医師に相談することも考えましょう。
膀胱炎
猫の膀胱炎は感染、尿路結石が主な原因です。突発性膀胱炎もあり、ストレスや肥満、キャットフードが原因となる場合もあります。再発予防のために、クランベリーやオメガ3脂肪酸などが入っていてpHコントールに優れたキャットフードがおすすめです。
デンタルケア
飼い猫の多くが患っている歯周病は、口臭や嘔吐などの症状を伴います。悪化すると心臓や肝臓、腎臓などにも障害がでます。猫の歯周病予防には定期的な歯磨きやデンタルケアキャットフードが効果的です。また毎日のチェックを欠かさないことも大事です。
避妊
雌猫は生殖器を維持と発情の過程において多大なエネルギーを消費します。そのため避妊手術を施すと、同じ量のキャットフードを与えていても太りやすくなります。肥満にさせないために、低脂質・低カロリーのキャットフードを選び、運動をさせることが大事です。
抜け毛
猫は3月と11月に換毛期が来るので、毛づくろいによって毛玉がたまりやすくなります。その結果、食欲不振や吐き気、下痢、便秘、呼吸困難になることもあります。毛玉ケア用キャットフードは食物繊維が豊富ですが、フードだけに頼らず毎日のブラッシングも大事です。
フケ
猫のフケ対策は毎日のブラッシングが効果的です。お風呂に入れたらしっかり乾燥させることが大事です。フケ対策のキャットフードはオリジンとFORZA10です。症状が重い時は動物病院に連れて行きましょう。
肥満
猫の肥満は脂肪肝や心筋症などの病気を発症するリスクがあります。肥満猫に適したキャットフードは高たんぱく質な餌です。低カロリーでダイエット向きのキャットフードは消化不良になる可能性があります。給餌の工夫と運動で、長期的な視点で肥満を解消させましょう。
妊娠
妊娠中の猫は通常の1.5倍程度のカロリー摂取が理想的です。タンパク質、カルシウム、ビタミンが豊富に含まれる妊娠中におすすめのキャットフードを紹介します。
体臭
猫の体臭の原因とキャットフードでできる対策をまとめました。副産物やミールなどキャットフードに含まれる脂質やたんぱく質の品質が悪いと体臭がきつくなることがあります。また病気や体調不良のサインである可能性もあるので飼い猫の健康チェックは大事です。
癌細胞は日々つくられ、免疫細胞によってその都度撃退されています。しかし加齢やストレスなどが原因で悪性腫瘍へと成長します。重要なのは免疫力を高めることです。基本的な栄養知識をもっておけば、キャットフードで飼い猫の癌の発生や増殖抑制が期待できます。
下痢
猫が下痢をする原因をまとめています。また動物病院で原因が特定できない場合のおすすめの療法食を紹介しています。下痢は猫の体の異常を知らせる緊急サインなのでしっかりと対応しましょう。
アレルギー
猫が食物アレルギーを発症する原因を解説し、アレルギー対策できるキャットフードの選び方、おすすめブランドを紹介します。ただし、生体によりアレルギー物質は異なるので、反応が出たらまずは病院へ連れていくことが大切です。
血便
猫の血便は大きな病気が影響していることもあるため、発見したら診察は必須です。しかし中にはキャットフードが関係している場合もあり、食事内容を見直すことで改善できるかもしれません。血便の知識を深めたうえで、キャットフードでケアする方法を把握しましょう。