猫に食べさせてもOK!?ラム肉キャットフードの秘密!
ジンギスカンでお馴染みの羊肉ですが、精肉店やスーパーで見かける機会も増えて随分と身近な存在になりました。生後1年未満の子羊をラム、それ以上の成羊はマトンと呼ばれ、どちらも栄養価が高いのが特徴です。
中でもラムの肉質は柔らかくてジューシー、マトンよりもクセが少ないため欧米では高級食材として扱われています。ペットに与える人も多く、最近では手作りごはんでも人気の食材です。
そんなラムには、実はあまり知られていない栄養がたくさん隠されています。具体的にどんな効果があるのでしょう?今回はラムの栄養価や、ラムを原材料にしたキャットフードなどを紹介しつつ、ラムの魅力について迫ってみたいと思います。
ヘルシーだけじゃない!多彩なラムの栄養素
ラムは栄養バランスに富んだ美容食としても有名です。ビタミン類においては糖質の代謝や疲労回復に必要なB1、皮膚や粘膜の健康に役立つB2、貧血を予防するB12などのB群が多く含まれています。優れた鉄と亜鉛の供給源でもあり、ミネラルバランスも抜群です。
さらにオメガ3系の不飽和脂肪酸も豊富で、血中の中性脂肪やコレステロールを調整して血をサラサラにします。血管への負担が軽くなるため、高齢猫をはじめ、腎不全、皮膚疾患、関節炎など、慢性的な炎症性疾患を抱える猫には積極的に摂らせたい栄養素です。
低コレステロールで高タンパク質のため、ダイエットに用いられるイメージがありますが、けしてカロリーが低いわけではありません。100gで約200kcalあるため、鶏の胸肉の方がよっぽど低カロリーです。それでもラムがヘルシーだと言われるのは、豊富なカルチニンと脂肪の質にあります。
ラムには豚肉のおよそ2倍のカルチニンが含まれています。脂肪燃焼や抗酸化作用があるので、肥満気味の猫にお勧めです。カルニチンが不足すると脂肪が蓄積しやすくなるだけでなく、高脂血症や糖尿病、腎疾患などの病気のリスクが高まります。
またラムの脂肪は融点が44℃と猫の体温よりも高いため、体内で溶けにくく吸収されにくいという特性があります。中鎖脂肪酸も入っているので、代謝を上げて体を温めるのにも効果的です。
ちなみにラムの野性味ある匂いは、エサとして食べた植物内の葉緑素がフィトールという成分に変化してできるものです。羊だけでなく反芻を行う草食動物に共通した匂いなのです。そのためラムを食べたからといって体臭が変化することはありません。
ラムを与えるときの注意
ラムはアレルギーが起きにくいと言われていますが、絶対に大丈夫というわけではありません。確かに食べたことのない肉には抗体がないため症状は出にくいでしょう。しかしそれは裏を返せば、これから先に抗体ができる可能性があるということです。近頃ではラム肉もポピュラーな食材になりました。ラムばかり食べ続けることで、アレルギーになるケースがあるのも事実です。
ラムを生で与えるときは、スーパーで売っている加熱用は控えましょう。買ってその日であれば問題ないという意見もありますが、必ずしもすべての猫に当てはまるとは限りませんし、体質や体調によって現れる症状も異なります。またパッケージに「生」と記載があっても、「冷凍ではない」という意味で書かれている場合もあります。
初めてラムをあげる際には、ペット用のものを購入するのが最善策です。どうしても加熱用を食べさせたいのであれば、熱湯をかけるなどして加熱してください。牛肉と同じように表面に火が通っていれば、中身は生でも食べることができます。
キャットフードを選ぶときは、ラムの含有量をチェックしてみましょう。中には少ししか入っていないにも関わらず、ラム肉の使用を大々的にアピールしているものもあります。またラムが入手できない国でつくられている場合も注意が必要です。メーカーは船便で輸入するため、保存料の有無や管理体制がきちんと整っているかがポイントとなります。
ラム主原料のお勧めキャットフード
栄養満点のラムを愛猫にも食べさせたいところですが、手作りごはんは初心者にはハードルが高いものです。食べなれていないものを受け付けない猫もいます。そこでラムを使ったキャットフードの出番です。どれも海外製ですが、猫を飼っている人たちから評判が良いものを3つ挙げてみました。
①ZiwiPeak デイリーキャット クィジーン エアドライタイプ ラム
肉類の含有量90%以上、消化率95%以上のプレミアムキャットフードです。低温でゆっくり乾燥させるエアドライ製法で、栄養素を壊すことなく加工しています。サクサクした食感のジャーキータイプで、食べやすいサイズにカットされています。
ラムの赤身だけでなく、必須栄養素をたっぷり含む内臓部分も使用しています。とくに無漂白のグリーントライプ(草食動物の胃の内容物)を使うことで、狩りで得る食事に限りなく近い状態を再現しています。さらに魚油でオメガ3やオメガ6などが豊富な必須脂肪酸を補い、グルコースやグリコーゲンが詰まった緑イ貝で関節の健康をサポートします。
- 原材料
- 成分
- カロリー
- 内容量
- 原産国
ラム、ラムレバー、ラムトライプ、ラムハート、ラムキドニー、緑イ貝、レシチン(大豆由来)、魚油(ホキ由来)、イヌリン(チコリ根由来)、ケルプ(乾燥)、ビタミン類(ビタミンD3、ビタミンE、リボフラビン、dパントテン酸カルシウム、ナイアシン、塩酸ピリドキシン、葉酸、ビタミンB12)、ミネラル類(キレート鉄、キレート銅、キレートマンガン、キレート亜鉛、亜セレン酸ナトリウム、炭酸水素カリウム)、DLメチオニン、タウリン、ミックストコフェロール(酸化防止剤)
水分15%以下、粗タンパク質36%以上、粗脂肪29%以上、 粗繊維0.5%以下、灰分9%以下、カルシウム2.3%、リン1.6%
443kcal/100g
400g
原産国:ニュージーランド
②C&R プレミアム・キャット
無添加物の飼料を食べさせたオーストラリア産ラム、新鮮な白身魚、栄養価の高い全粒の穀物、さらにハーブを組み合わせたドライフードです。全量検査後は日本で包装しているためパッケージは日本語表記になっています。アレルギー体質や老猫、妊娠中などすべての猫に対応している総合栄養食です。
見慣れない材料が多く使われていますが、いずれも品質にこだわった人間用食品基準をクリアしています。モンモリロナイトはデトックス作用のある粘土鉱物、アマランサスはキアヌ同様に栄養価の高いヒユ科の植物です。またネトルにはビタミンやミネラルが貧血予防に、スリッペリーエルムは胃腸の働きを助ける作用があります。
- 原材料
- 成分
- カロリー
- 内容量
- 原産国
ラム肉 、ひきわりミレット(黍キビ) 、 ひきわり玄米、ギンヒラス、シロギス 、豪州真ダイ、米ぬか、 米ぬか油、カノラオイル、ひきわりフラックスシード、モンモリロナイト、 アマランサス、ユッカ、ネトル、ブルーベリー、スリッペリーエルム、西洋タンポポ、チコリ、タウリン、カロチン、塩化コリン、炭酸カルシウム、ビタミンE、鉄、ビタミンA、亜鉛、ナイアシン、葉酸、チアミン、ビタミンB6、マンガン、ビタミンK群、ヨウ素
水分10%以下、粗タンパク質 31%以上、粗脂肪 11%以上、粗繊維5%以下、粗灰分 8%以下マグネシウム0.1%以下、リン0.5%以下
362kcal/100g
2ポンド 900g / 4ポンド 1.8kg / 10ポンド 4.54kg
オーストラリア
③Almo Nature デイリーメニュー オーガニックパテ ラム
アルモネイチャーは、世界で初めてヒューマングレードのフードを手掛けたメーカーです。イタリアの会社ですが、原産国はオーストリアやフランスなど製品によって様々です。材料となる家畜には100%有機農法でつくられたエサを与え、第三者機関である検査機関「Austria Bio Garantie」によりオーガニック製品の認証も受けています。
ラムをメインに4種類のオーガニックミートを使用した、ゼラチンたっぷりのパテ状フードです。総合栄養食の基準は満たしていますが、メーカーでは一般食扱いとなっています。原材料のシリアルが気になるところですが、穀物を用いることで消化酵素の働きを助けることが狙いとなっています。
- 原材料
- 成分
- カロリー
- 内容量
- 原産国
ラム肉 、ひきわりミレット(黍キビ) 、 ひきわり玄米、ギンヒラス、シロギス 、豪州真ダイ、米ぬか、 米ぬか油、カノラオイル、ひきわりフラックスシード、モンモリロナイト、 アマランサス、ユッカ、ネトル、ブルーベリー、スリッペリーエルム、西洋タンポポ、チコリ、タウリン、カロチン、塩化コリン、炭酸カルシウム、ビタミンE、鉄、ビタミンA、亜鉛、ナイアシン、葉酸、チアミン、ビタミンB6、マンガン、ビタミンK群、ヨウ素
水分81%、粗タンパク質10%、粗脂肪5%、粗繊維0.5%、粗灰分2.5%
87.8kcal/100g
100g
フランス
羊は美と栄養のシンボル!
ラム肉を使用したキャットフードは、オーガニックやヒューマングレードなど高品質のものが多いのが印象的でした。ラムの生産地であるオーストラリアやニュージーランドが、ナチュラルフード先進国であることが深く関係しているのでしょう。ペットの健康への配慮だけでなく、原料となる動物の健康にまで配慮しているメーカーが多いことに驚かされます。
その分、市販の手に入りやすいフードと比べて価格は高くなります。しかし粗悪なペットフードをつくり続けるメーカーが多い中、こうした風潮がどんどん高まっていくことは、飼い主にとっては心強い傾向と言えるでしょう。
また猫は食材のちょっとした酸化も敏感に察知します。生のラムを与えていて突然食いつきが悪くなったら、古くなっているのかもしれません。今一度肉の購入先などを見直してみましょう。
古代中国において羊は大切な供え物であり、神聖な動物とされていました。羊が元になった漢字も多く、羊が生活にどれだけ密接に関わっていたのかが窺えます。大きな羊は立派で美しいことから「羊+大=美」という字ができ、羊を食べると栄養がつくことから「羊+食=養」となりました。羊は遥か昔から、美と栄養の象徴だったのです。
ラムの栄養を最大限に活用して、愛猫の健康と美しさを維持しましょう。
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- 副産物
- キャットフードに含まれる副産物は人間が食べられない骨や内臓などです。ミールやエキスなどは羽、毛、皮、くちばちし等をすりつぶしたり、粉末状にしてあります。全てが危険という訳ではありませんが、原材料はしっかり確認することが愛猫の健康に大事です。
- 増粘多糖類
- 増粘多糖類は食品の粘り気を増すための添加物で、ウェットフードに多く含まれています。天然成分で作られているものは健康被害がないと考えて問題ありませんが、人工的に作っているメーカーもあるので原材料チェックは大事です。
- リン
- 猫がキャットフードでリンを過剰に摂取すると腎臓病(腎不全)になるリスクが高まります。またカルシウムとのバランスが崩れることで尿路結石になる可能性もあります。しかしリンは必要な成分なので、バランスのよいキャットフード選びが大事です。
- ナトリウム
- 猫にとって塩分は大切な栄養源ですが、ナトリウムのとりすぎは腎臓病や高血圧などのリスクがあります。ナトリウム不足になると食欲不振や発育の遅れなどがあります。1日の塩分の量を適切に守ることで健康維持ができます。
- タウリン
- キャットフードに含まれるタウリンは猫に必要不可欠な成分です。猫はタウリンを体内で生成できないのでキャットフードから摂取しなければなりません。タウリンが足りないと様々な病気を併発するので注意が必要です。
- 粗灰分と粗繊維
- キャットフードの保証分析値にある粗灰分と粗繊維について解説します。祖灰分は食品を燃やしたときに灰として残ったミネラル分のことです。粗繊維は酸とアルカリで抽出後に残った不溶性食物繊維のことで、便を増やして固くする働きがあります。
- エトキシキン
- キャットフードに含まれるエトキシキンは猫にとって危険な添加物です。ペットの食糧への添加は許可されているものの、犬や猫の癌の一因になっている可能性があります。エトキシキンが添加されていない安全なキャットフードを飼い猫に与えることをおすすめします。
- ゼオライト
- キャットフードに含まれるゼオライトの効果と、ゼオライトが配合されているキャットフードの紹介をしています。ゼオライトは食品添加物として認可されています。猫用としては腎臓ケアとして療法食に使用されています。副作用はありませんが、与えすぎは禁物です。
- トウモロコシ
- トウモロコシは安価で満腹感が得られるのでキャットフードに含まれることが多いです。コーングルテンなども同じです。トウモロコシは穀物アレルギー、下痢や嘔吐の原因になる可能性があるので、飼い猫の状況をよく考えてキャットフードを与えることが大事です。
- 馬肉
- 馬肉はカルシウム、鉄分、ビタミン類が豊富に含まれており、低カロリー高たんぱく質なので猫の餌として優れた食材です。通販で購入できる馬肉入りのおすすめキャットフードや、飼い猫に与える際の注意点をまとめました。
- 乳酸菌
- 乳酸菌が猫の慢性腎不全や腎臓病に効果的とされるメカニズムを解説します。また乳酸菌配合のキャットフードからおすすめのブランドを紹介します。
- 野菜
- 猫に食べさせるキャットフードと野菜の関係を解説しています。猫は肉食なので野菜を食べる必要はありません。逆に下痢になったり、危険な植物もあります。基本的には猫に総合栄養食を与えていれば大丈夫です。
- 肉と魚どっちが好き?
- 猫は魚が好きというイメージがありますが、本来は陸上に生息する肉食動物なので肉を食べる必要があります。肉と魚の栄養素をいいとこどりしたおすすめのキャットフードを紹介するほか、肉を与える際の注意点もまとめました。