知っているようで知らないキャットフードの増粘多糖類
キャットフードの原材料の記載ラベルで目にする「増粘多糖類」。猫缶などのウェットフードには必ずといっていいほど使われていますよね。なんとなく体に悪そうなイメージがありますが、実際のところどうなのでしょう?今回は、私たちにとっても身近な存在の増粘多糖類について掘り下げてみたいと思います。
増粘多糖類っていったい何者?
増粘多糖類とはその名の通り、食品に粘りを増やすために用いられる添加物です。とろみや粘りを出す増粘剤、液体と固体を分離させない安定剤、ゲル状に固めるゲル化剤の3つの用途に分けられます。とろみのあるウェットフードや液状おやつなどが分かりやすいですね。これによって食感を調節しているのです。
多糖類とはブドウ糖などの糖がいくつも結合したものを指し、代表的なものにデンプンやセルロースなどが挙げられます。以下が添加物として使われることが多い成分です。私たちが普段口にする食品や化粧品にも使われているので、一度は見たことがあるのではないでしょうか。
- アラビアガム(樹液類)
- グアーガム、ローカストビーンガム(豆類)
- カラギーナン、アルギン酸(海藻類)
- ペクチン(果物類)
- デキストリン(野菜類)
- キサンタンガム(微生物の発酵生産物類)
危険?安全?食べ続けてもいいの??
これらは主に天然成分からつくられていますが、摂取し続けても大丈夫なのでしょうか?
結論からいえば、これらの添加物を長期で摂取したときの健康被害の実例はありません。一生にわたって毎日食べ続けたとしても悪影響のない量が使われている、という研究結果も出ています。
しかし中には自然由来だからといって必ずしも安全とは言い切れないものもあります。とくに「ファーセラン」「トラガントガム」「カラギーナン」は、動物実験における染色体異常や発がん性が指摘されています。また「アラビアガム」は人間が吸引した場合、喘息や鼻炎などのアレルギー症状を誘発させる可能性があるとされています。
これらの添加物は大量摂取しない限り危険性は極めて少ないとされ、食品添加物としての安全性も認められています。とは言っても安全性が確証されていない以上、わざわざ好んで食べたいとは思いませんよね。
リスクのある成分を避けるというのも一つの選択肢ですが、さらにここで注意しておきたいのは、増粘多糖類とは2種類以上の多糖類を使用した場合の簡略した名称という点。メーカーは原材料すべてを記載する義務はなく、避けておきたい添加物も「増粘多糖類」の表記に隠れてしまっているかもしれないのです。すべてに当てはまるわけではありませんが、そういった意味で増粘多糖類は危険といえるでしょう。
愛猫のために知識を得よう!
増粘多糖類をはじめ添加物の表示は各メーカーの任意になっているため、現実はもっと曖昧なのかもしれません。原材料のラベルもあやふや、添加物についても実際のところよくわからないとなると、一体何をあげればいいのかわからなくなりますよね!
市販品を与える以上、増粘多糖類不使用のキャットフードを探す方が難しいですが、知識をもっておくのはとても重要なことです。私たちの日常に当たり前のようにあふれた添加物。将来的に健康を脅かすかもしれない存在であることを理解しておくだけで、愛猫やあなた自身の身を守る術にもなるでしょう。
まずは原材料をチェックし、気になる点はメーカーに直接問い合わせることもできます。神経質になりすぎるのも良くありませんが、安全なものを食べさせたいと思うのが親心。少しでも不安要素があれば、それを一つずつ解消していくことこそが愛猫の健康を守る近道になります。
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- 副産物
- キャットフードに含まれる副産物は人間が食べられない骨や内臓などです。ミールやエキスなどは羽、毛、皮、くちばちし等をすりつぶしたり、粉末状にしてあります。全てが危険という訳ではありませんが、原材料はしっかり確認することが愛猫の健康に大事です。
- リン
- 猫がキャットフードでリンを過剰に摂取すると腎臓病(腎不全)になるリスクが高まります。またカルシウムとのバランスが崩れることで尿路結石になる可能性もあります。しかしリンは必要な成分なので、バランスのよいキャットフード選びが大事です。
- ナトリウム
- 猫にとって塩分は大切な栄養源ですが、ナトリウムのとりすぎは腎臓病や高血圧などのリスクがあります。ナトリウム不足になると食欲不振や発育の遅れなどがあります。1日の塩分の量を適切に守ることで健康維持ができます。
- タウリン
- キャットフードに含まれるタウリンは猫に必要不可欠な成分です。猫はタウリンを体内で生成できないのでキャットフードから摂取しなければなりません。タウリンが足りないと様々な病気を併発するので注意が必要です。
- 粗灰分と粗繊維
- キャットフードの保証分析値にある粗灰分と粗繊維について解説します。祖灰分は食品を燃やしたときに灰として残ったミネラル分のことです。粗繊維は酸とアルカリで抽出後に残った不溶性食物繊維のことで、便を増やして固くする働きがあります。
- エトキシキン
- キャットフードに含まれるエトキシキンは猫にとって危険な添加物です。ペットの食糧への添加は許可されているものの、犬や猫の癌の一因になっている可能性があります。エトキシキンが添加されていない安全なキャットフードを飼い猫に与えることをおすすめします。
- ゼオライト
- キャットフードに含まれるゼオライトの効果と、ゼオライトが配合されているキャットフードの紹介をしています。ゼオライトは食品添加物として認可されています。猫用としては腎臓ケアとして療法食に使用されています。副作用はありませんが、与えすぎは禁物です。
- トウモロコシ
- トウモロコシは安価で満腹感が得られるのでキャットフードに含まれることが多いです。コーングルテンなども同じです。トウモロコシは穀物アレルギー、下痢や嘔吐の原因になる可能性があるので、飼い猫の状況をよく考えてキャットフードを与えることが大事です。
- ラム肉
- ラム肉栄養バランスが良く、脂肪燃焼や脂肪燃焼や抗酸化作用があります。そのためラム肉を主原材料としたキャットフードは肥満気味の猫にお勧めです。ただ一般的なキャットフードよりも高額になります。
- 馬肉
- 馬肉はカルシウム、鉄分、ビタミン類が豊富に含まれており、低カロリー高たんぱく質なので猫の餌として優れた食材です。通販で購入できる馬肉入りのおすすめキャットフードや、飼い猫に与える際の注意点をまとめました。
- 乳酸菌
- 乳酸菌が猫の慢性腎不全や腎臓病に効果的とされるメカニズムを解説します。また乳酸菌配合のキャットフードからおすすめのブランドを紹介します。
- 野菜
- 猫に食べさせるキャットフードと野菜の関係を解説しています。猫は肉食なので野菜を食べる必要はありません。逆に下痢になったり、危険な植物もあります。基本的には猫に総合栄養食を与えていれば大丈夫です。
- 肉と魚どっちが好き?
- 猫は魚が好きというイメージがありますが、本来は陸上に生息する肉食動物なので肉を食べる必要があります。肉と魚の栄養素をいいとこどりしたおすすめのキャットフードを紹介するほか、肉を与える際の注意点もまとめました。