猫が妊娠したときに摂取させたいカロリーと栄養

猫の妊娠期間の目安はおよそ60日前後、1度の出産で平均3~5匹生むと言われています。妊娠20日頃は外見に変化は見られませんが、1週間ほど食欲が減ります。30日目を過ぎるとお腹が大きくなり、食欲も徐々に増え始めます。「最近太ってきたなあ」なんて思っていたら実は妊娠していた、というケースが多いようです。

 

そこで多くの飼い主が悩むのが食事のことです。今まで通りのご飯でいいのか、特別なものを用意すべきか見当がつかないものです。そこで今回は、妊娠中の猫に必要なカロリーと栄養についてお話したいと思います。

 

 

妊娠から3ヶ月間はカロリーと栄養がマスト

妊娠中や出産後の猫にとって最も大切なのは、カロリーを多めに摂ることです。妊娠期間中はいつもの1.5倍程度のカロリー摂取が理想的と言われています。子猫の数にもよりますが、授乳開始から3週間までは2~3倍のカロリーが必要となります。

 

母猫は分娩や授乳で体力を消耗しているので、欲しがるだけご飯を与えても問題はありませんが、食べ過ぎると下痢を起こしやすくなります。とくに妊娠後期は胃腸が圧迫されて一度にたくさん食べることができないため、食事回数を増やすことで摂取カロリーを増やしましょう。

 

積極的に摂らせてあげたい栄養素は、タンパク質、カルシウム、ビタミンなどが挙げられます。いずれも丈夫で健康な体をつくるためには不可欠です。妊娠してから離乳するまでの約3か月間は、これらの栄養とカロリーをしっかり摂らせることが重要になります。ただし乳離れが始まっったら、食事内容を少しずつ戻していきましょう。

 

 

妊娠中におすすめのキャットフード

少量でも充分な栄養とカロリーが摂取できる子猫用キャットフードは、妊娠中の猫にもお勧めです。高タンパク質で栄養バランスも優れているので、母猫にも子猫にも与えやすいのが特徴です。どちらにも兼用できるキャットフードの中から3種類をピックアップしてご紹介します。

 

サイエンス・ダイエットPRO 猫用 健康ガード 発育~12ヶ月/妊娠・授乳期

プレミアムフードの先駆けとも言える、サイエンスダイエットのドライフードです。療法食のイメージが強いメーカーですが、こちらのフードは総合栄養食に分類されます。

 

良質なチキンに野菜やフルーツを組み合わせ、消化吸収をサポートしています。さらに脳の発達に不可欠なDHAやEPA、健康な体をつくるタンパク質にカルシウムなど、妊娠中に必要な栄養素がたっぷりと含まれています。

 

とは言え、小麦やコーングルテンなど、アレルギーになりやすい食材が多く使われている点には注意が必要です。アレルギーを持っている猫への給餌は避けましょう。

 

  • 原材料
  • 小麦、チキン、コーングルテン、動物性油脂、小麦グルテン、チキンエキス、ビートパルプ、魚油、オート麦ファイバー、リンゴ、ブロッコリー、ニンジン、クランベリー、エンドウマメ、ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、クロライド、マグネシウム、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、イオウ、ヨウ素)、アミノ酸類(タウリン、トリプトファン、メチオニン、リジン)、乳酸、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)

  • 成分
  • 水分8%以下、粗タンパク質33%以上、粗脂肪22%以上、粗繊維3.5%以下、粗灰分8%以下、カルシウム0.8%以上、リン0.75%以上

  • カロリー
  • 420kcal/100g

  • 内容量
  • 300g / 1.5kg / 3kg

  • 原産国
  • アメリカ

 

 

ニュートロ ナチュラルチョイス室内猫用 キトン

「ミートファースト」をコンセプトとしているニュートロ社のフードは、すべての製品の第一主原料に新鮮な肉や魚が使われています。このフードにも、良質なタンパク質を豊富に含むチキン生肉を主原料に使用しています。

 

素材へのこだわりも強く、ビタミンやミネラルなどの栄養素も天然成分です。鶏脂やフィッシュオイルといった油脂原料にも、自然由来の酸化防止剤が使われています。さらに自社工場による一貫した管理体制をとることで、高い品質と安全性を保っています。

 

玄米やオートミールは食物繊維が豊富で、腸内環境を整える効果があります。妊娠中の便秘にも有効な反面、穀物アレルギーの猫にはNGです。

 

  • 原材料
  • チキン生肉、乾燥チキン、エンドウタンパク、鶏脂、粗挽き米、玄米、ポテトタンパク、ビートパルプ、オートミール、乾燥サーモン、タンパク加水分解物、アルファルファミール、大豆油、フィッシュオイル、ユッカ抽出物、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、ミネラル類(カリウム、クロライド、セレン、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、亜鉛、鉄、銅)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)、緑茶抽出物、スペアミント抽出物

  • 成分
  • 水分10%以下、タンパク質36%以上、脂質19%以上、粗繊維4%以下、灰分10.5%以下、カルシウム1.2%以上、リン0.9%以上

  • カロリー
  • 400kcal/100g

  • 内容量
  • 500g / 2kg

  • 原産国
  • アメリカ

 

 

ロイヤルカナン  キトン インスティンクティブ ウェット

便秘や水分補給時にも与えやすい、総合栄養食のウェットフードです。小粒のチャンクタイプで、やや食感に弾力があります。嗜好性も高いので、食欲が落ちているときにもお勧めです。

 

チキンとポークを主原料にすることで、消化率90%以上の高タンパク質を実現しています。さらに腸内環境を整えるマンナンオリゴ糖が配合されているため、免疫力の強化にも効果的です。ミネラルやビタミンなど、子猫や妊娠中の猫に必要な栄養もバランスよく摂ることができます。

 

ちなみに、同メーカーのドライフードはBHAや没食子プロピルといった酸化防止剤が使用されていますが、ウェットフードには使われていません。着色料も不使用なので、安心して食べさせられるところもポイントです。

 

  • 原材料
  • 肉類(鶏肉・豚肉)、米粉、小麦タンパク、セルロース、カゼインカルシウム、魚油、糖類、ミネラル類(Ca、P、Mg、Na、K、Cl、Zn、Fe、Mn、キレートミネラル(Zn、Mn、Cu))、酵母抽出物(マンナンオリゴ糖源)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン、L-カルニチン)、マリーゴールド抽出物(ルテイン源)、増粘多糖類、調味料(アミノ酸等)、ビタミン類(C、E、コリン、B1、ナイアシン、D3、B2、パントテン酸カルシウム、B6、葉酸、ビオチン、B12)

  • 成分
  • 水分82%以下、タンパク質10%以上、脂肪2%以上、粗繊維1.6%以下、灰分1.7%以下

  • カロリー
  • 94kcal/100g

  • 内容量
  • 85g

  • 原産国
  • オーストリア

 

 

食事管理が安産へ導く

出産を目前にした猫が落ち着きなく動き回るようになると、それは陣痛の兆候です。20分から1時間ほどこの状態が続きますが、それ以上経っても分娩が始まらない場合は難産の可能性が考えられます。こうした緊急時にすぐ対応してもらうためにも、事前に動物病院で受診しておくといいでしょう。

 

安産を叶えるためには、妊娠時の食事が大きな鍵となります。愛猫の出産にできることはごく僅かですが、栄養管理は飼い主にしかできません。母猫と生まれてくる子猫のためにも、妊娠が分かった時点でしっかり栄養を摂らせてあげます。

 

また生まれてくる子猫を飼うことができないのであれば、猫の避妊手術は必須です。一度は愛猫に子供を持たせてやりたい、と思うかもしれませんが、先述の通り猫はたくさん子猫を生みます。寿命も年々延びて、20年生きる猫も少なくありません。すべての命に責任が持てないのであれば、むやみに猫を増やすことはやめましょう。

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猫の尿が酸性またはアルカリ性になると結石ができるのが尿路結石です。膀胱や尿道を傷つけるだけでなく、尿道閉塞になって死に至る危険性もあります。pHコントロール系のキャットフードや水を与えることで改善します。
便秘
水をあまり飲まない猫は便秘になりやすい傾向があります。食物繊維が豊富に含まれている毛玉ケア用キャットフードを与えたり、ブラッシングをすることで便秘の予防になります。
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猫は人間ほど腎臓が強くないので、高齢になると腎不全などの病気を発症しやすいです。腎臓病になった場合は獣医師の指示のもとロイヤルカナンやプリスクリプション・ダイエットなどの療法食を与えましょう。
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吐く
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デンタルケア
飼い猫の多くが患っている歯周病は、口臭や嘔吐などの症状を伴います。悪化すると心臓や肝臓、腎臓などにも障害がでます。猫の歯周病予防には定期的な歯磨きやデンタルケアキャットフードが効果的です。また毎日のチェックを欠かさないことも大事です。
避妊
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抜け毛
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フケ
猫のフケ対策は毎日のブラッシングが効果的です。お風呂に入れたらしっかり乾燥させることが大事です。フケ対策のキャットフードはオリジンとFORZA10です。症状が重い時は動物病院に連れて行きましょう。
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