トウモロコシは猫の敵?キャットフード業界の矛盾と猫への影響

トウモロコシはキャットフードではお馴染みの材料です。逆に含まれていないフードを探す方が大変かもしれません。療法食にも用いられるほどポピュラーな食材ではありますが、猫にとってあまり良くないとも言われています。

 

それが本当なら、どうして多くのメーカーが使用しているのでしょうか?またトウモロコシを食べると猫にどういった影響があるのでしょうか?

 

今回は、そんなトウモロコシの話をしていきたいと思います。今まで気にとめたことがなかった人も是非読んでみてくださいね。

 

 

毒にはならないけど過剰摂取はNG

結果から言えば、猫がトウモロコシを食べても問題ありません。ただし、あくまで「問題ない」のであり、「食べさせるべき食材」ではないことを知っていてください。

 

猫は基本的に糖質を必要としない動物です。対して、トウモロコシには糖質がたっぷり含まれています。多少であれば膵臓で消化吸収できますが、過剰に摂取すると下痢や嘔吐といった消化不良を起こします。また肥満や糖尿病といった病気にもかかりやすくなり、体の機能は確実に衰えていきます。

 

また猫の食物アレルギーは、そのほとんどが穀物由来です。トウモロコシに限らず、穀物は市販のキャットフードに多く使われています。もともと消化に無理があるものですから、長年にわたって摂り続けることで弊害が出る、というのも納得できる話です。

 

 

キャットフードを選ぶときの注意点

トウモロコシ粉やコーングルテンなど、名前を変えて表記されている場合もありますが、中身はどれも同じです。「トウモロコシ○%」「トウモロコシ粉○%」と分けることで、トウモロコシの含有量を少なく表示できるのです。

 

分割表示されていなくても、原材料欄の先頭に「トウモロコシ」と書かれているフードの常用は、猫にしてみれば喜ばしいことではありません。ペットフード業界ではよく使われている手段なので、お手元のフードも一度確認してみてください。

 

また遺伝子操作されたトウモロコシが使われている可能性も考慮しなければなりません。人間の食料品にも使用されていることを思えば、値段の安いキャットフードにも使われていると考えるのが自然でしょう。避けるためには「遺伝子組み換えでない」と表記されたフードを選ぶか、メーカーに問い合わせるより他ありません。

 

 

トウモロコシを主原料にする理由

どうして猫が消化しにくいトウモロコシを、わざわざキャットフードに使うのか疑問に思いますよね?

 

あるメーカーは、トウモロコシ内のセルロースが水分を含んで膨み、満腹感が得られてダイエットに効果的だと謳っています。しかし栄養価の低いフードがいくら胃の中で膨張したとしても、栄養不足からの過食を招くだけと推測されます。

 

便秘や腸内環境の改善、また毛玉ケアの効果を狙って使われているケースもあります。確かに便の量を増やすことは、排便や毛玉排出を促すために有効です。しかしトウモロコシの食物繊維は不溶性です。多く摂り過ぎるとが便が硬くなり、便秘を悪化させる危険性もあります。

 

トウモロコシは原料の中でも非常に安価です。肉や魚を主原料にしたときのコスト面を考えれば、やはり生産費用を抑えたいのがメーカーの真意なのでしょう。低価格のフードを求める消費者がいる限り、この矛盾が解消されることはありません。

 

 

大手メーカーでも油断大敵!

冒頭でも述べましたが、トウモロコシはあえて食べさせなくてもいい食材です。トウモロコシから得られる栄養素は低く消化にも良くないことから、与えない方がむしろ適切と言えるでしょう。

 

しかし中にはトウモロコシが好物の猫もいます。食べないことがストレスになるようであれば、加熱して磨り潰したものを少量与えてあげましょう。もちろん過去にトウモロコシが原因で体調を崩したことがないのが条件です。高齢や病気などで消化器官が弱っているときは控えるか、どうしても与えたい場合はさらに量を減らすなどして注意してください。

 

不必要なものや、入れて欲しくないものが含まれるキャットフードは多く存在します。大手のメーカーで使用しているから安全に決まっている、と思いがちですが、そうとは限らないのが実情です。誰もが知るメーカーの製品であっても、危険とされてる材料を使っていることがあります。自分でつくった食事でない以上、猫に与えるフードの原材料や成分に関する知識を身につけておくことが大切なのです。

 



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副産物
キャットフードに含まれる副産物は人間が食べられない骨や内臓などです。ミールやエキスなどは羽、毛、皮、くちばちし等をすりつぶしたり、粉末状にしてあります。全てが危険という訳ではありませんが、原材料はしっかり確認することが愛猫の健康に大事です。
増粘多糖類
増粘多糖類は食品の粘り気を増すための添加物で、ウェットフードに多く含まれています。天然成分で作られているものは健康被害がないと考えて問題ありませんが、人工的に作っているメーカーもあるので原材料チェックは大事です。
リン
猫がキャットフードでリンを過剰に摂取すると腎臓病(腎不全)になるリスクが高まります。またカルシウムとのバランスが崩れることで尿路結石になる可能性もあります。しかしリンは必要な成分なので、バランスのよいキャットフード選びが大事です。
ナトリウム
猫にとって塩分は大切な栄養源ですが、ナトリウムのとりすぎは腎臓病や高血圧などのリスクがあります。ナトリウム不足になると食欲不振や発育の遅れなどがあります。1日の塩分の量を適切に守ることで健康維持ができます。
タウリン
キャットフードに含まれるタウリンは猫に必要不可欠な成分です。猫はタウリンを体内で生成できないのでキャットフードから摂取しなければなりません。タウリンが足りないと様々な病気を併発するので注意が必要です。
粗灰分と粗繊維
キャットフードの保証分析値にある粗灰分と粗繊維について解説します。祖灰分は食品を燃やしたときに灰として残ったミネラル分のことです。粗繊維は酸とアルカリで抽出後に残った不溶性食物繊維のことで、便を増やして固くする働きがあります。
エトキシキン
キャットフードに含まれるエトキシキンは猫にとって危険な添加物です。ペットの食糧への添加は許可されているものの、犬や猫の癌の一因になっている可能性があります。エトキシキンが添加されていない安全なキャットフードを飼い猫に与えることをおすすめします。
ゼオライト
キャットフードに含まれるゼオライトの効果と、ゼオライトが配合されているキャットフードの紹介をしています。ゼオライトは食品添加物として認可されています。猫用としては腎臓ケアとして療法食に使用されています。副作用はありませんが、与えすぎは禁物です。
ラム肉
ラム肉栄養バランスが良く、脂肪燃焼や脂肪燃焼や抗酸化作用があります。そのためラム肉を主原材料としたキャットフードは肥満気味の猫にお勧めです。ただ一般的なキャットフードよりも高額になります。
馬肉
馬肉はカルシウム、鉄分、ビタミン類が豊富に含まれており、低カロリー高たんぱく質なので猫の餌として優れた食材です。通販で購入できる馬肉入りのおすすめキャットフードや、飼い猫に与える際の注意点をまとめました。
乳酸菌
乳酸菌が猫の慢性腎不全や腎臓病に効果的とされるメカニズムを解説します。また乳酸菌配合のキャットフードからおすすめのブランドを紹介します。
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