猫に与えるキャットフードの一日の量の適正値をご存知ですか?

猫に与えるキャットフードについて、一日の量は一体どれくらいが適正か飼い主なら最初に悩む疑問の一つだと思います。与え過ぎて肥満や病気になったりしないか、逆に少なすぎて栄養失調を起こしたらなどと最初は戸惑うのではないでしょうか。

 

猫は与えられた餌を一時に食べきってしまうということはせず、少量ずつ小分けにして何度も食べてエネルギーを蓄えるという習性があります。そのため飼い主の方で予め1日の必要量を算出した上で2~3回に分けて与えるようにすることをおすすめします。

 

では1日に猫に与えるキャットフードの必要量はどれほどになるのでしょうか。これは猫の年齢、体重、体調などによって変わってくるため一概には言えません。そこで今回は猫に与えるキャットフードの1日分の適正量についてご説明します。

 

 

子猫の場合

一般的に生後7カ月までの猫を子猫という言い方をしますが、成長期の子猫の場合、「体重×200kcal」が1日に与えるべき餌の必要量(必要カロリー)ということになります。

 

たとえば体重2kgの子猫の場合、2×200kcal=400kcalがこの子猫に与えるべき1日の餌の必要量になります。1日2回餌を与えるとすると、1回分は200kcalということになります。

 

ただし成長期にある子猫は必要量以上に餌を欲しがる場合があります。これは十分な発育にはそれなりにエネルギーが必要となってくるためで、その場合には欲しがるだけキャットフードを与えても構いません。

 

 

成猫の場合

生後1年以上を経過した成猫の場合、「体重×80kcal」が1日に与えるべき餌の必要量(必要カロリー)です。

 

たとえば体重5kgの猫の場合、5×80kcal=400kcalがこの猫に与えるべき1日の餌の必要量になります。1日2回餌を与えるとすると、1回分は200kcalということになります。

 

 

妊娠中の場合

妊娠中の場合は通常より2~4倍のエネルギーを使うので、体重1kgにつき約140~300kcalが必要になります。胃が圧迫されることで食事量も落ちるので、少量でもカロリーが摂れるキャットフードを選びましょう。

 

授乳中も同じく高カロリーは必須です。子猫の数にもよりますが、母猫には食べたいだけ食べさせても大丈夫です。離乳が始まったらキャットフードの量と種類を少しずつ戻せば問題ありません。

 

 

室内飼いか外飼いかで異なる

完全室内飼いの成猫の適正な摂取カロリーは、体重1kgに対して70~80kcalといわれています。一日2~3回に分けてあげるようにしましょう。1回に与えるフード量の計算方法は「70kcal×体重=一日に必要なエネルギー量÷与える回数」で割り出します。

 

それに対して肥満猫は、食事の間隔が長くなると脂肪をため込みやすくなるため、3~4回に小分けにするのがポイント。体重1kgにつき約40kcal程度が望ましいです。「40kcal×体重=一日に必要なエネルギー量÷回数」で計算してください。去勢や避妊をしたときもホルモンバランスが変化して太りやすくなるので要注意!運動量も10~30%ほど減少するため、その分カロリーも引いておきます。

 

食事量が低下する7歳以上のシニア猫は、体重1kgに対し約60kcal程度で構いません。一度に食べられる量が減るので、様子を見ながらご飯の回数を増やしてあげましょう。

 

 

肥満猫の見分け方

成猫の適正体重はおよそ3~5kg。種類や個体によっても変わるため、1歳時の体重を目安にしましょう。1歳のときと比べて120%以上体重が増えているようなら、それは立派な肥満!(メインクーンなどの大型猫はゆっくりと成長するので例外です)

 

太り過ぎると様々なリスクが高まります。満足に毛づくろいできないことから皮膚炎を患ったり、体重の負荷により関節炎になることも。重篤になると、脂肪が気道を圧迫して呼吸器系の障害を引き起こすこともあるのです。高血圧、糖尿病、心臓病、腎臓病などの慢性疾患に脅かされる点も、人間と一緒ですよね。

 

でっぷりとした猫は愛らしいですが、猫が太り過ぎても良いことなんて一つもありません。欲しがるままにご飯を与えることは可愛がっているのではなく、愛猫の寿命を縮めているのです。

 

運動量を増やすことで減量させることも大切ですが、太れば太るほど動きたくなくなるもの。まずは日々の食事で確実に改善していきましょう。

 

 

少しの手間で健康管理

年齢や環境に合わせたフードの計算方法をご紹介しましたが、各フードでカロリーも異なるため、細かいグラム数などについてはパッケージを要チェックです。

 

多頭飼いで理想的な食事量をキープするのはなかなか難しいものです。しかし成長期の子猫や、療法食を与えている猫がいる場合はちょっと頑張ってみましょう。猫の数だけ器を用意する、食事のときだけ別の部屋で食べさせるなど、工夫することで可能になることは多いはずです。食べ残しもすぐ片付けましょう!

 

飼い猫の健康管理は、飼い主にとって重大ミッション。我が愛猫が元気で長生きできるように、しっかりサポートしてあげましょうね。

 



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