猫がキャットフードを食べない時の上手なトッピング方法
猫が突然キャットフードを食べなくなった、というのはよくある話です。私たちが思うよりずっと猫は繊細でグルメです。「猫に同じ食べ物を与え続けても飽きない」なんて意見もありますが、人間が毎日変わり映えのない食事にうんざりするのであれば、猫だって同じ気持ちかもしれません。しかしせっかく愛猫のために用意したのですから、できることなら食べて欲しいと思うのが心情ですよね。
そんな悩める飼い主の皆さんに、是非試していただきたいのがトッピングです。猫の食欲は匂いによって左右されるため、効果は絶大です。猫も飼い主も幸せになれるトッピングについて、注意点なども併せて見ていきたいと思います。
市販のもので簡単トッピング
最も手軽なトッピングは、市販の猫用かつお節やふりかけなどのオヤツを使うことです。栄養面や食べやすさなどに配慮してつくられているので、安心して食べさせることができます。チーズやササミ、サーモンなど種類も豊富なので、好みの難しい愛猫にも対応できることでしょう。
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ウェットフードや液状オヤツもトッピングしやすいアイテムです。水分が不足しがちなドライフードの短所をカバーすることもできます。また災害時を見据えて、普段からドライとウェット、どちらも食べられるようにしておきましょう。
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より安全性の高めたいなら、プレミアムフードをトッピングに使うのも一つの手です。猫用オヤツよりも多少高価になりますが、添加物やマグネシウムなどに配慮したナチュラル志向のフードであれば、罪悪感なく与えることができます。安全なものを食べさせている、と自覚できることは飼い主にとっても有難いことです。
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手をかけるなら食材トッピング
手作りご飯をあげたいけどハードルが高い、と思っている人にもお勧めなのが、肉や魚などの食材をトッピングする方法です。ウェットフード同様に水分補給にもなりますし、添加物など余計なものが入っていない分、安心してトッピングできるのがメリットです。
牛肉に含まれるヘム鉄は消化吸収されやすく、鉄分補給には欠かせない成分です。豚肉はビタミンB1が豊富で、猫が苦手とする炭水化物の代謝をサポートしてくれます。鶏肉は高タンパク質で低コレステロールですが、ササミにはリンの含有量も多いので量は加減しましょう。ペット用であれば生肉でもいいですが、食べ慣れていないと消化不良の原因となるため、基本的に加熱するのがベターです。
魚はDHAやEPAといった脂肪酸をたっぷり含有しています。中でもマグロなどの赤身魚や血合い部分には、猫にとって必要不可欠なタウリンが含まれています。刺身用であれば生でも構いませんが、消化しやすいよう少量にとどめておきましょう。
卵は必須アミノ酸の宝庫です。卵黄にはリンが多いですが、必要最低限の量で良質のタンパク質が得られることから人間の腎臓食にも用いられています。卵白は生で与えると、皮膚炎や脱毛を発症させる「ビオチン欠乏症」の原因となりますが、しっかり加熱すれば問題ありません。ゆで卵を崩してトッピングする人も多いようです。
ドライフードしか食べたことがない猫の場合、いきなり食材をトッピングしても受け付けない可能性もあります。初めてトッピングするときは、焼いて水分を飛ばしてみましょう。慣れてきたら少しずつ水分量を増やしてください。
また、これは全てに当てはまることですが、同じものだけを与え続けると栄養に偏りが生じます。色んなものを少しずつ、を心がけましょう。
トッピングするときの注意点
しっかり混ぜる
トッピングだけ食べてしまっては本末転倒です。キャットフードと混ぜて与えましょう。ドライフードの場合、粉状であればうまく絡めることができます。カリカリとウェットフードも混ぜた方がいいですが、中には混ぜられることを嫌う猫もいますので、そのときは一番下に隠すようにウェットフードを仕込んでみてください。美味しい匂いがするので、その上のドライも一緒に食べるようになります。
人間用に加工された食品を与えない
かつお節や煮干しなどは絶対に猫用を与えてください。人間の食用として加工されたものは、塩分量やカロリーが高く猫には不向きです。とりわけハムやソーセージ、かまぼこ、ちくわなどは添加物も多く含まれており、猫の腎臓にダイレクトに負担がかかることが容易に想像できます。
マタタビの常用はダメ
キャットフードを食べさせる目的であれば、マタタビもある意味有効な手段ですが、トッピングには適していません。中枢神経に作用して麻痺させるため、大量摂取や常用することで呼吸器不全やアレルギーを引き起こすケースもあります。また子猫やシニア猫、心臓が弱い猫には刺激が強すぎます。
トッピングは少量
トッピングをする目的は、キャットフードを食べてもらうきっかけをつくることです。大量に与えると、それは最早トッピングではありません。それだけでお腹がいっぱいになってしまったり、カロリーの摂りすぎになってしまいます。香りづけ程度に抑えておきましょう。
置きエサには要注意
飼い主が日中不在になる場合、置きエサをして出かける人も多いかと思います。乾燥しているものであれば心配ありませんが、水分が多いものをトッピングすると傷みやすくなります。とくに夏場は菌が増殖することも考えられます。ウェットフードや刺身などは、猫が食べ終わるのを見届けられる状況で与えてください。
「食べない」じゃなくて「食べられない」?
体調不良が原因でキャットフードを食べないこともあります。
- ご飯を用意するといつも出てくるのに姿を現さない
- 部屋の隅でうずくまっている
- 食べ方がいつもと違う(口からこぼれ落ちる、食べにくそうに顔を傾けるなど)
このように明らかに様子が普段と違うときは病気の可能性を疑いましょう。
動物病院へ連れて行く判断基準は「1歳以上の猫が24時間何も食べていない」と覚えておいてください。子猫の場合1~2ヶ月は8時間以上、3~4ヶ月は12時間、3~4ヶ月は16時間以上になります。
ただし、これはあくまで目安です。少しでもおかしいと思ったらすぐに病院へ行くようにしましょう。体力のない子猫や病気の猫は、体調を崩すとあっという間に命を落とすことになります。
猫の事情を察してみよう
あれこれ工夫を凝らしているにも関わらず、用意したご飯を食べてくれないと悲しい気持ちになりますよね。しかし猫には猫の事情があるから食べないのであって、飼い主を困らせてやろうとは微塵も思っていません。叱りつけたとしても何故怒られているかが理解できないからこそ、私たちがその事情を察してあげる必要があります。
食べない理由として、現在与えているキャットフードが穀物などでかさ増しされている可能性も挙げられます。上質の動物性タンパク質が豊富に含まれていれば、食いつきが格段に良くなるケースもあります。材料や成分をチェックし、フードを見直すきっかけにしてみるのもいいかもしれません。
猫にもそれぞれ個性があるため試行錯誤の日々が続くかもしれません。しかしその作業は性格を深く知るきっかけになり、愛猫との距離を縮めることにも繋がります。好きなものや嫌いなものを把握しながら、トッピングを上手に使いこなしていきましょう。
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- 適正な給与量
- 子猫は体重に200kcalをかけた数値、成猫は体重に80kcalをかけた数値が一日必要なエネルギー量です。それを元に2~3回に分けてキャットフードを与えるのがよいでしょう。各キャットフードの包装に100g当たりのカロリーが記載されているので、必ず参考にしてください。
- 酸化を防ぐ保存方法
- キャットフードに含まれる脂質は酸素に触れると酸化し、猫の体内に蓄積して細胞をむしばんでいき、下痢やおう吐、発疹などの病気の原因となります。酸化をを防ぐには密封保存したり、できるだけ早く消費することが大事です。
- 保存場所と容器
- キャットフードのドライタイプは一つの袋を長期間に渡って使用するため、適切な保存方法が必要です。また真空パックなど保存に適した容器を用いることで、品質の劣化をある程度抑えることができます。
- 食べない理由と対処法
- 猫がキャットフードを食べない理由は味の飽き・食器・環境の変化によるストレス・加齢・病気などが原因です。うまくキャットフードを食べさせるには、トッピングをつけたり、温めて臭いを強めたり、ローテーションで味に変化を混ぜたりすることです。
- 糞尿の臭い
- 臭いが強いキャットフードを食べると、その猫の糞尿の臭いも強烈になる傾向があります。茶カテキンが配合されるキャットフードは消臭効果があるのでおすすめです。ただし餌の切り替え方には気を付けてください。
- フードボウル
- 猫が毎日使うキャットフード用のお皿(フードボウル)は、大きさ・深さ・重さ・材質の4点に注目して選びましょう。特に形状によって猫の髭があたったり、深すぎて食べにいことがあるので注意が必要です。
- ねこまんま
- 白米に味噌汁や出汁を取った後の煮干し、かつお節、魚の骨などを混ぜた残飯がねこまんまです。ねこまんまは人間の残飯を用いるので、基本的にキャットフードの代わりにはなりません。しかし正しい知識を持って適切に作れば安全なキャットフードになります。
- 歴史
- ペットフードは19世紀イギリスで生まれ、20世紀に入りアメリカを中心にドッグフードとキャットフードが販売されるようになりました。日本のキャットフードの歴史は1972年から始まり、経済成長に伴うペットブームと共に発展してきました。
- 飽きない理由
- 猫は人間と比べて味覚が鈍感ですが、苦味と酸味には敏感です。子猫から与えているキャットフードは飽きないことが多いですが、湿気や鮮度などで食べなくなることがあります。飽きさせないためには猫用ふりかけやおやつをトッピングするなどの工夫も大事です。
- 免疫力
- 猫の免疫力を向上させることで寿命を延ばすことが可能です。良質なキャットフードで善玉菌を増やすか、運動・ストレス発散により猫の免疫力をつけることが可能です。市販の安価なキャットフードは添加物や炭水化物が多く含まれており、悪玉菌が増えるので逆効果です。
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- 防災
- 災害発生時にペットをどのように守るべきかの心構えをまとめました。キャットフードは1ヶ月分備蓄しておき、キャリーバッグや首輪・リード、常用している薬、飲み水、トイレなどの身のまわりのアイテムも準備しておくことが大事です。
- フードパズル
- フードパズルは猫の狩猟本能を刺激することでストレス発散につながります。またキャットフードを食べるペースが遅くなり満腹感を得られるのでダイエット効果も期待できます。ただしフードパズルの注意点を守らないと弊害が生じることもあるので気をつけましょう。
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