切っても切れない関係!猫の必須アミノ酸「タウリン」とは?

「タウリン」と聞くと、栄養ドリンクを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。疲労回復やスタミナ源としてのイメージが強いですが、じつは猫にとって欠かすことのできない大切な成分でもあります。しかしその事実が判明したのは比較的最近のことで、それまで多くの猫たちがタウリン不足により命を落としてきました。

 

なぜ猫にはタウリンが必要なのでしょうか?そもそもタウリンが足りないと一体どうなってしまうのでしょうか?そんな猫とタウリンの密接な関係について見ていきたいと思います。

 

 

猫はタウリンがつくれない

タウリンは1827年に牛の胆汁から発見され、牛の学名であるタウロスにちなんで名付けられたアミノ酸の一種です。胆汁の材料でもあり、細胞内のカルシウムとマグネシウムのバランスを調整し、肝臓や心臓の機能を正常に保つ働きがあります。また高血圧予防、ダイエット、疲労回復などにも効果があることから健康食品に広く用いられています。

 

人間はシステインというアミノ酸からタウリンをつくることができますが、猫はタウリンを生成することができず、経口で摂取する必要があります。犬も人と同じように体内で合成できることから、ドッグフードにはほとんどタウリンは含まれていません。そのため猫がドッグフードを食べ続けると健康に支障をきたします。

 

タウリン欠乏症になると、網膜や腎臓の萎縮、心筋症、繁殖能力の低下、骨の成長不全など様々な病気が併発します。1975年、猫のタウリン不足が網膜に影響して失明することが判明してから、キャットフードに配合されるようになりました。

 

 

タウリンの弱点は熱!?

不足するのも怖いですが、過剰摂取してしまったときも心配ですよね。しかしタウリンは比較的早く代謝されるので、不要なタウリンは尿と一緒に排出されます。多めに摂っても問題ありません。

 

タウリンは魚介類や動物の内臓に含まれています。中でもサザエや牡蠣、タコ、イカに多いのが特徴ですが、どれも猫には好ましくない食材ですよね。タコやイカは大量でなければ加熱して与えられなくもないですが、タウリンは熱に弱い成分です。生の食品に含まれているタウリン量を100%としたとき、焼くと30%、煮炊きすると50%も減少します。

 

ペットフードの栄養基準を定めているAAFCO(米国飼料検査官協会)によると、ドライフード1kgに対して0.1%、ウェットフードなら0.2%の含有量を推奨しています。基本的にパッケージ記載の指定量を与えていれば1日に必要なタウリンは摂取できます。タウリンの表示のないフードもありますが、動物性タンパク質の中に存在する成分なので、一度成分表示などをチェックしてみてください。

 

 

キャットフードはプロの技術の集大成

猫向きの食材だけでタウリンを摂るのはなかなか大変なことです。手作りご飯をあげている場合は、猫用サプリメントで補うのが最も効果的です。

 

タウリンが豊富に含まれている生肉さえ与えていれば大丈夫、といった意見も見かけますが、スーパーで売られているような加熱用の肉は猫に与えないでください。鮮度が悪く感染症の恐れもあるので、ペット用として販売されている新鮮な肉を用意しましょう。

 

また高齢猫や子猫の場合、成猫と比べてタウリンの吸収率が低下します。決められた量を食べさせていても、その全てを取りこむことができません。そのためタンパク質が多く、栄養価の高いキャットフードを選ぶことが重要になります。

 

猫にとってタウリンがいかに大切なものか、お分かりいただけましたか。キャットフードは、猫のことを考え抜いてつくられた技術の集大成です。だからこそ、それだけで栄養を補給できるのです。愛猫がいつまでも元気でいられるよう、質の良いタウリンがたっぷり入ったフードを選んであげましょう。

 



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