キャットフードで飼い猫を癌に負けない体にしよう
猫の寿命が延びて高齢化が進む中、癌の発症率も年々上昇しています。腫瘍の約70%が悪性というデータもあり、腎臓病よりも癌が原因で亡くなることの方が多いようです。
近年では獣医療のめまぐるしい進歩に伴い、人間並みの高度な治療を受けることも可能になりましたが、発症しないに越したことはありません。癌を予防するためにも、癌と闘うためにも、免疫力はを高めることは必須条件です。
体本来が持つ防御システムを最大限サポートするために、キャットフードでできることをご紹介します。
癌と免疫のあくなき戦い
癌はもともと正常な細胞に異常が生じることで発生するもので、健康な人の体内でも日々作られています。通常はNK細胞・マクロファージ・T細胞といった「免疫細胞(リンパ球)」によって排除さるため、癌が増殖することはありません。ところが癌細胞は攻撃を受けるうちに突然変異を繰り返し、より手ごわい悪性腫瘍へと成長するのです。
細胞が癌化する主な原因
加齢
年をとるにつれて免疫力が低下するため、癌細胞の増殖を抑えきれなくなります。ただし高齢になると進行スピードが遅くなることが多く、癌で命を落とす前に寿命をまっとうするケースもあるようです。
紫外線
耳や鼻の先など直接日光が当たる部分は「日光皮膚炎」になりやすく、悪化すると「扁平上皮癌」を発症します。とく白っぽい毛色はメラニン色素の少ないため、紫外線ダメージをダイレクトに受けてしまいます。
化学薬品
消臭剤や農薬、殺虫剤などには、発がん性が指摘されている成分を含んでいる商品があります。ペット用として販売されているものでも「ジクロルボス」「ペルメトリン」「マラチオン」など、危険性の高い薬品を配合しています。
ストレス
ストレスを受けると、交感神経が活発な状態が続きます。すると脳は「アドレナリン」や「コルチゾール」などのホルモンを分泌し、免疫細胞の働きを低下させます。ストレスと癌の関連性については、国立がん研究センターが発表した調査結果にもまとめられており、いかにストレスの影響力が大きいかがうかがえます。
※参考資料
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0120/20180120.pdf
受動喫煙
飼い主が喫煙者のときのリンパ腫の発症率は2.4倍にもなり、喫煙歴が長いほど高くなります。タバコの煙には約70種類以上もの有害物質が含まれており、家具や衣服だけでなく猫の被毛にも付着します。グルーミングの習性や鼻が短いこともあり、犬よりも猫の方が発症しやすいそうです。
ホルモン
生後半年以内に避妊手術をすることで、乳がんの発症リスクを減らすことができます。乳がんが発生するメカニズムについて未だ不明な点が多いものの、発情期に分泌されるホルモンとの関与が示唆されています。
遺伝
遺伝的要因も無視できません。口腔癌の場合では、親猫が発症しているとその子猫も癌因子を持っている可能性が高いと考えられています。
ウイルス
「ネコ白血病ウイルス(FeLV)」「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」「猫肉腫ウイルス(FeSV)」に罹患していると、癌も発症しやすくなります。免疫力が低下することでウイルスが活性化し、健康な細胞を少しずつ癌化させるのです。
ワクチン
稀なケースですが、ワクチンの副作用で「ワクチン接種部位肉腫」という癌になることもあります。発症する確率は非常に少ないものお、注射した跡の炎症やしこりが数か月経っても消えないときは要注意しましょう。
癌と関係する栄養素
猫は食べ物が体の健康に大きな影響を与えます。以下に癌と関係性が深い栄養素を紹介しますが、この辺りを考慮してキャットフードランキングを紹介しています。どの栄養素を重視するかで意見は分かれますが、1~3位の商品のどれかから選べば間違いないでしょう。
炭水化物
癌細胞の主なエネルギー源は糖質(ブドウ糖)です。そのため穀物や炭水化物の比率が多いフードは控えた方がいいでしょう。菓子パンやうどん、かぼちゃ、芋類などもアウトです。猫は糖質をほとんど必要としないため、過剰に摂取すると肥満や血管障害を招く恐れもあります。
タンパク質
タンパク質も癌の増殖に利用されます。しかし不足すると体内から取り出して補おうとするため、アミノ酸スコアの高いタンパク質を摂ることが重要です。アミノ酸スコアとは、合成できない必須アミノ酸の配合バランスを数値化したもので、100に近いほど体内で無駄なく利用できると言われています。ちなみに肉や魚など、動物性タンパク質のアミノ酸スコアはほとんどが100です。それらの食材を主原料にしたキャットフードを選んだり、トッピングしたりして毎日の食事に取り入れてみましょう。
脂肪酸
脂質に含まれる脂肪酸は、体力維持に欠かすことのできない栄養素です。とくにEPA・DHA・αリノレン酸などの「オメガ3系脂肪酸」は、癌を進行させる活性酸素の減少や、腸内環境の改善など、体にとって有益な働きをします。血液をサラサラにする作用もあり、若いうちから与えることで腎不全の予防にも効果的です。オメガ3系脂肪酸は青魚にもっとも多く含まれており、近頃は配合されているキャットフードもよく見かけます。
乳酸菌
免疫力を高めるために乳酸菌を積極的に摂るのも有効です。免疫細胞の約6割は腸に存在していて、善玉菌が多いほど強くなると言われています。牛乳やヨーグルトを与えている人もいますが、猫は乳糖を分解する「ラクターゼ」という酵素が不足しています。かえって胃腸に負担をかける可能性もあるため、ペット用のサプリや乳酸菌配合のキャットフードで摂取するとよいでしょう。
QOLを意識することも必要
癌の治療中はエネルギーを消耗しやすいため、カロリーをしっかり摂って体力維持することが肝心です。栄養素についても触れましたが、過度な制限や強制は猫にとって苦痛でしかありません。栄養に関する基礎知識も必要ですが、食べてくれそうなものを与えることもまた大切なことなのです。たとえば糖質は癌細胞の養分になりますが、NK細胞の栄養源でもあります。
先に述べた内容と少々矛盾するようですが、徹底した糖質制限は免疫システムの低下にもつながります。好物に糖質が入っているからといって排除するより、量を加減しながらあげる方がQOLを向上させます。猫の体調や好みに合わせたストレスのない生活こそが、何より優先されるべきではないでしょうか。
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