換毛期にご用心!キャットフードで抜け毛対策

猫の全身の被毛が生え替わる換毛期は、人間の衣替えと同じように、体温の調節をするため3月と11月の年2回やってきます。このとき毛づくろいすることで大量の毛を飲み込みますが、実はこれが原因で重篤な病気にかかってしまう恐れがあるのです。今回はそんな抜け毛によって起こりうる病気や、キャットフードでできる予防方法についてご紹介します。

 

 

ホントは怖い毛玉の脅威

猫の換毛期が訪れると季節の変わり目を実感しますが、この時期は延々と毛が抜けるので毎日掃除やブラッシングで大忙しです。猫もお腹の中にたくさん毛を取りこんでしまうわけですが、うまく出せないと毛球症になる可能性があります。

 

通常猫は毛玉を吐いたり便と一緒に出すなどして排出しますが、体内に長時間とどまってしまった毛玉は固く大きなかたまりになります。食欲不振や吐き気、下痢、便秘などの初期症状から、重症になると呼吸困難になることもあります。最悪の場合は開腹手術でしか対処できず、命にも関わる大変怖い病気なのです。長毛種や胃腸の動きが衰えた老猫は、とくに注意が必要になります。

 

一番の予防策はブラッシングで抜け毛をこまめに取ってあげることです。定期的に猫草を与えるのも有効です。しかし飼い主の都合で満足にブラッシングできなかったり、猫草が手に入らないときもあるかと思います。そんなときは毛玉対策用のキャットフードを活用してみましょう。

 

毛玉ケアのフードには通常のフードよりもたくさんの食物繊維が含まれています。繊維質が毛を絡み取り便と一緒に排出させる効果があるので、毛玉を吐くよりも体への負担が少なくなります。

 

 

毛玉ケアのキャットードが便秘を悪化させる可能性もある

では毛玉ケア用ならどんなキャットフードでも大丈夫なのでしょうか?食物繊維が多いからこそチェックしておくべきポイントもあります。毛玉ケアのキャットフードにはビートパルプやセルロースを使っているものが多く、この2つは要注意です。

 

そもそもキャットフードに含まれる食物繊維には「可溶性」と「不溶性」の2種類あります。ビートパルプとはサトウダイコンの絞りカス、セルロースは糖分を含んだ植物繊維で、どちらも不溶性です。

 

可溶性は水分を吸収することでゼリー状になり便を柔らかく、不溶性は繊維で便を固める働きがあります。また不溶性は水を含むと膨張する性質があるため、便秘がちな猫に食べさせると、さらに悪化させることもあります。穀物が主原料になっているフードもたくさんあり、低たんぱく高炭水化物のため肥満の原因にもなります。

 

 

愛猫に合った抜け毛対策

持病がある場合や便秘症の猫には注意が必要な毛玉ケア用のフードですが、抜け毛が増える換毛期のみ与えるなどで使い分けるのも一つの方法。排便中に苦しそうにしていないか、便に毛が混じっていないかなど、フードを与えて1週間は猫の様子を見るようにしましょう。

 

またドライよりもウェット、三角よりも丸い粒、大きいものより小さいサイズの方が胃腸の中をスムーズに移動します。小分けに与えて食べさせる回数を増やすと内臓が動きやすくするので、そういった工夫で対策するのもおすすめです。

 

適量の繊維も個体差があり猫によっても様々です。一概に毛玉ケア用だからといってどの猫にもマッチするとは限りません。猫にとっての最善策は抜け毛を飲み込まないことですが、まずは獣医師に相談するなどして、愛猫に合わせたフードや解決策を見つけておくと安心ですね。

 



にゃん事典トップページへのリンク

関連ページ

尿路結石
猫の尿が酸性またはアルカリ性になると結石ができるのが尿路結石です。膀胱や尿道を傷つけるだけでなく、尿道閉塞になって死に至る危険性もあります。pHコントロール系のキャットフードや水を与えることで改善します。
便秘
水をあまり飲まない猫は便秘になりやすい傾向があります。食物繊維が豊富に含まれている毛玉ケア用キャットフードを与えたり、ブラッシングをすることで便秘の予防になります。
腎臓病
猫は人間ほど腎臓が強くないので、高齢になると腎不全などの病気を発症しやすいです。腎臓病になった場合は獣医師の指示のもとロイヤルカナンやプリスクリプション・ダイエットなどの療法食を与えましょう。
毛玉
猫はグルーミング(毛づくろい)をすることで毎日一定の毛が胃の中に入り込みます。少量であれば糞とともに排泄されますが、量が多すぎると吐き出していまします。そのため毛玉ケア(ヘアボール)コントロールキャットフードがあります。
吐く
猫が吐く原因の多くは毛玉ですが、キャットフードの成分にアレルギー反応を示したり、餌の切り替えがうまくいかなかった可能性もあります。しかし重大な病気の危険性もあるので、症状によっては獣医師に相談することも考えましょう。
膀胱炎
猫の膀胱炎は感染、尿路結石が主な原因です。突発性膀胱炎もあり、ストレスや肥満、キャットフードが原因となる場合もあります。再発予防のために、クランベリーやオメガ3脂肪酸などが入っていてpHコントールに優れたキャットフードがおすすめです。
デンタルケア
飼い猫の多くが患っている歯周病は、口臭や嘔吐などの症状を伴います。悪化すると心臓や肝臓、腎臓などにも障害がでます。猫の歯周病予防には定期的な歯磨きやデンタルケアキャットフードが効果的です。また毎日のチェックを欠かさないことも大事です。
避妊
雌猫は生殖器を維持と発情の過程において多大なエネルギーを消費します。そのため避妊手術を施すと、同じ量のキャットフードを与えていても太りやすくなります。肥満にさせないために、低脂質・低カロリーのキャットフードを選び、運動をさせることが大事です。
フケ
猫のフケ対策は毎日のブラッシングが効果的です。お風呂に入れたらしっかり乾燥させることが大事です。フケ対策のキャットフードはオリジンとFORZA10です。症状が重い時は動物病院に連れて行きましょう。
肥満
猫の肥満は脂肪肝や心筋症などの病気を発症するリスクがあります。肥満猫に適したキャットフードは高たんぱく質な餌です。低カロリーでダイエット向きのキャットフードは消化不良になる可能性があります。給餌の工夫と運動で、長期的な視点で肥満を解消させましょう。
妊娠
妊娠中の猫は通常の1.5倍程度のカロリー摂取が理想的です。タンパク質、カルシウム、ビタミンが豊富に含まれる妊娠中におすすめのキャットフードを紹介します。
体臭
猫の体臭の原因とキャットフードでできる対策をまとめました。副産物やミールなどキャットフードに含まれる脂質やたんぱく質の品質が悪いと体臭がきつくなることがあります。また病気や体調不良のサインである可能性もあるので飼い猫の健康チェックは大事です。
癌細胞は日々つくられ、免疫細胞によってその都度撃退されています。しかし加齢やストレスなどが原因で悪性腫瘍へと成長します。重要なのは免疫力を高めることです。基本的な栄養知識をもっておけば、キャットフードで飼い猫の癌の発生や増殖抑制が期待できます。
下痢
猫が下痢をする原因をまとめています。また動物病院で原因が特定できない場合のおすすめの療法食を紹介しています。下痢は猫の体の異常を知らせる緊急サインなのでしっかりと対応しましょう。
アレルギー
猫が食物アレルギーを発症する原因を解説し、アレルギー対策できるキャットフードの選び方、おすすめブランドを紹介します。ただし、生体によりアレルギー物質は異なるので、反応が出たらまずは病院へ連れていくことが大切です。
血便
猫の血便は大きな病気が影響していることもあるため、発見したら診察は必須です。しかし中にはキャットフードが関係している場合もあり、食事内容を見直すことで改善できるかもしれません。血便の知識を深めたうえで、キャットフードでケアする方法を把握しましょう。
軟便
飼い猫が軟便になった時のキャットフード選びのポイントをまとめました。軟便のパターンや原因、キャットフード選びのポイントも紹介します。