つらい膀胱炎をキャットフードで改善する方法

トイレに何度も出入りする、トイレの前で鳴く、粗相するようになった、血尿や頻尿になっている。愛猫にいつもと違う様子が見られたら、それってもしかして膀胱炎かも!?意外かもしれませんが膀胱炎に悩まされる猫は多く、痛みを隠すために飼い主が気付きにくい病気でもあります。

 

一度経験したことがある人なら分かりますが、あのなんともいえない不快感と激痛は非常に辛いものです。人間ですらこんなに辛いのに、体の小さい猫にとってその苦痛は計り知れません。できることなら愛猫にそんな痛みを経験させたくはないですよね。

 

猫の膀胱炎は大きく分けて、感染、結石、原因不明の3つです。猫はとてもデリケートなので様々なことが要因となっている場合が多いのですが、キャットフードで予防、または自然治癒させることもできるのです。今回はそんな膀胱炎にまつわる話をしたいと思います。

 

 

どうして膀胱炎になるのか

膀胱とは尿を一時的にためる袋のこと。ここで炎症が起きることを膀胱炎といいます。細菌感染は尿道から侵入した菌によって引き起こされ、不衛生な環境が原因となる場合が多いようです。

 

尿路結石によってなるケースはキャットフードや水、ストレスなどが原因とされています。トイレが汚い、猫の数よりもトイレが少ないなどの理由から排泄を我慢して、膀胱炎と結石を併発させる場合もあります。

 

どちらも当てはまらない場合は、特発性膀胱炎と診断されます。ストレス、肥満、フード、水、寒さ、先天的な問題などが主な要因に挙げられ、猫の膀胱炎で第1位だそうです。しかもこの病気は対処療法しかないのが厄介なところです。人間の間質性膀胱炎とよく似ていることから「猫間質性膀胱炎」とも呼ばれています。体質によるところが大きいため、自然治癒と再発を繰り返します。

 

また膀胱炎には急性と慢性の2種類あり、急性であれば数週間の投薬治療で治ります。しかし急性を放置すると慢性化し、膀胱内の壁が厚くなり充分に尿をためることができなくなります。さらに重症化すると膀胱壁の潰瘍や腎臓疾患を発症することもあるため、病院で的確な治療を受ける必要があります。

 

 

どんなキャットフードが膀胱炎に効くのか

膀胱炎に役立つ成分の入ったものを選べば、再発を予防することもできます。クランベリー、オメガ3脂肪酸、メチオニンDLは尿を酸性に保ち、抗酸化力にも優れているため人間の膀胱炎や結石治療にも用いられています。

 

またpHコントロールできる療法食も効果的です。尿を酸性にするものから結石を溶かすものまで、その種類は多種多様です。ただ一点、飲水量を増やすためナトリウム含有量が多いものもあるので注意が必要となります。低マグネシウムや低リンのフードで代用するのもいいですね。

 

さらに特発性膀胱炎に対応しているフードもあります。「ヒルズc/dマルチケアコンフォート」は結石に配慮しつつ、抗ストレス効果のある「トルプトファン」「加水分解ミルクプロテイン」を配合。再発減少に成功したという研究報告もあります。

 

予防の基本は、水をたくさん飲ませて尿を排出させることです。どの膀胱炎にも効果があるので、飲み水の場所を増やす、器を変えるなどの工夫を。硬水のミネラルウォーターは結石になりやすいので、良かれと思って与えていてもやめましょう。ドライフードならウェットフードに変えてみたり、お湯で柔らかくするのもおすすめです。

 

 

毎日のケア&観察が肝心!

重篤でなければキャットフードの食事療法は有効です。猫の膀胱炎は再発率が高く、治ったと思ってもまた発症することはよくあります。その都度薬を飲ませるのも肝臓や腎臓に負担がかかりますし、治療費も病院に連れて行く時間もかかります。できれば普段のケアで膀胱炎を予防してあげたいものですよね。ただし自己判断は禁物です。獣医師に相談した上で、愛猫に合うフードを見つけましょう。

 

勿論トイレを清潔にしておくことも重要。ちょっとの汚れでもご立腹です。大きな音や強い匂い、猫同士の関係がうまくいってないなど、思わぬことがストレスの原因となっている可能性もあります。

 

24時間以内に尿が出ないと猫は尿毒症になってしまいます。こうなる前に日頃から愛猫におかしな様子がないか、トイレはきちんと行けているかなどのチェックもしてあげてください。

 



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尿路結石
猫の尿が酸性またはアルカリ性になると結石ができるのが尿路結石です。膀胱や尿道を傷つけるだけでなく、尿道閉塞になって死に至る危険性もあります。pHコントロール系のキャットフードや水を与えることで改善します。
便秘
水をあまり飲まない猫は便秘になりやすい傾向があります。食物繊維が豊富に含まれている毛玉ケア用キャットフードを与えたり、ブラッシングをすることで便秘の予防になります。
腎臓病
猫は人間ほど腎臓が強くないので、高齢になると腎不全などの病気を発症しやすいです。腎臓病になった場合は獣医師の指示のもとロイヤルカナンやプリスクリプション・ダイエットなどの療法食を与えましょう。
毛玉
猫はグルーミング(毛づくろい)をすることで毎日一定の毛が胃の中に入り込みます。少量であれば糞とともに排泄されますが、量が多すぎると吐き出していまします。そのため毛玉ケア(ヘアボール)コントロールキャットフードがあります。
吐く
猫が吐く原因の多くは毛玉ですが、キャットフードの成分にアレルギー反応を示したり、餌の切り替えがうまくいかなかった可能性もあります。しかし重大な病気の危険性もあるので、症状によっては獣医師に相談することも考えましょう。
デンタルケア
飼い猫の多くが患っている歯周病は、口臭や嘔吐などの症状を伴います。悪化すると心臓や肝臓、腎臓などにも障害がでます。猫の歯周病予防には定期的な歯磨きやデンタルケアキャットフードが効果的です。また毎日のチェックを欠かさないことも大事です。
避妊
雌猫は生殖器を維持と発情の過程において多大なエネルギーを消費します。そのため避妊手術を施すと、同じ量のキャットフードを与えていても太りやすくなります。肥満にさせないために、低脂質・低カロリーのキャットフードを選び、運動をさせることが大事です。
抜け毛
猫は3月と11月に換毛期が来るので、毛づくろいによって毛玉がたまりやすくなります。その結果、食欲不振や吐き気、下痢、便秘、呼吸困難になることもあります。毛玉ケア用キャットフードは食物繊維が豊富ですが、フードだけに頼らず毎日のブラッシングも大事です。
フケ
猫のフケ対策は毎日のブラッシングが効果的です。お風呂に入れたらしっかり乾燥させることが大事です。フケ対策のキャットフードはオリジンとFORZA10です。症状が重い時は動物病院に連れて行きましょう。
肥満
猫の肥満は脂肪肝や心筋症などの病気を発症するリスクがあります。肥満猫に適したキャットフードは高たんぱく質な餌です。低カロリーでダイエット向きのキャットフードは消化不良になる可能性があります。給餌の工夫と運動で、長期的な視点で肥満を解消させましょう。
妊娠
妊娠中の猫は通常の1.5倍程度のカロリー摂取が理想的です。タンパク質、カルシウム、ビタミンが豊富に含まれる妊娠中におすすめのキャットフードを紹介します。
体臭
猫の体臭の原因とキャットフードでできる対策をまとめました。副産物やミールなどキャットフードに含まれる脂質やたんぱく質の品質が悪いと体臭がきつくなることがあります。また病気や体調不良のサインである可能性もあるので飼い猫の健康チェックは大事です。
癌細胞は日々つくられ、免疫細胞によってその都度撃退されています。しかし加齢やストレスなどが原因で悪性腫瘍へと成長します。重要なのは免疫力を高めることです。基本的な栄養知識をもっておけば、キャットフードで飼い猫の癌の発生や増殖抑制が期待できます。
下痢
猫が下痢をする原因をまとめています。また動物病院で原因が特定できない場合のおすすめの療法食を紹介しています。下痢は猫の体の異常を知らせる緊急サインなのでしっかりと対応しましょう。
アレルギー
猫が食物アレルギーを発症する原因を解説し、アレルギー対策できるキャットフードの選び方、おすすめブランドを紹介します。ただし、生体によりアレルギー物質は異なるので、反応が出たらまずは病院へ連れていくことが大切です。
血便
猫の血便は大きな病気が影響していることもあるため、発見したら診察は必須です。しかし中にはキャットフードが関係している場合もあり、食事内容を見直すことで改善できるかもしれません。血便の知識を深めたうえで、キャットフードでケアする方法を把握しましょう。
軟便
飼い猫が軟便になった時のキャットフード選びのポイントをまとめました。軟便のパターンや原因、キャットフード選びのポイントも紹介します。