同じキャットフードで飽きない理由は猫の舌と鼻にあり!

「あんなに美味しそうに食べてたのに突然食べなくなった」というのは、猫を飼っていたらよく聞く話です。猫は繊細で気まぐれ、ムラ食いをすると分かっていても飼い主としてはもどかしい限りですよね。かといえば、どんなフードでも食べてくれて、毎日同じものを文句ひとつ言わずに食べる従順な性格な猫もいて十猫十色です。

 

でもグルメな猫がいる反面、飽きもせずに同じフードを何年も食べ続けている猫もいます。そうなると栄養の偏りも心配になりますよね。今回はそんな疑問を解決するため、猫の味覚について追ってみたいと思います。

 

 

味覚は鈍感、嗅覚は敏感

猫は美食家で味にうるさいイメージがありますが、人と比べて味覚はかなり鈍感です。私たちが味を感じるときは、舌の表面にある「味蕾細胞」という味覚センサーにより、味の情報を脳に伝えています。人間には約10000個あると言われている味覚センサーが猫は1000個以下しかなく、その差1/10とかなり少ないのです。

 

人間には「甘味」「塩味」「苦味」「酸味」「旨味」の5つの味覚がありますが、猫は「旨味」を除いた4種類しかありません。甘味や塩味は非常に鈍く、とくに甘味はほとんど感知できないと言われています。ちょっと意外ですよね。その代わり毒性や鮮度を判断する「苦味」と「酸味」には敏感です。

 

考えてみれば、猫は足の裏からお尻まで隈なくグルーミングする動物ですから、味覚の発達は猫にとって喜ばしいことではありませんよね。毎日のお手入れをストレスフリーでこなすためにも、これくらいの感知機能でちょうど良かったのかもしれません。

 

しかし何を食べても同じというわけではありません。猫の嗜好性は「匂い」で左右されます。匂いを感知する細胞は人間の2倍あり、嗅ぎ分ける能力が数万倍もあるのです。さらに上アゴの「ヤコブソン器官」という場所からも、フェロモンやマタタビの匂いを感じ取ることができます。味覚は鈍感ですが、匂いに関しては非常にシビアなのです。

 

 

匂いを制してムラ食い防止!

ずっと同じものを与えていると栄養面が心配になりますが、「総合栄養食」と記載されているキャットフードであれば体調を崩すことはありません。猫にとって必要な栄養基準が満たされているので、新鮮な水と一緒に与えるだけで栄養バランスが保たれます。

 

しかし意外と繊細な面も持ち合わせているため、ちょっとしたことが原因で食べなくなることもあります。例えば大袋のドライフードだと食べきる前に香りが薄まったり、湿気を吸って食感が変わります。フードの形や材料、生産地など、飼い主が気付きにくいマイナーチェンジを過敏に察知する猫もいるのです。

 

猫は匂いや食感などの些細な変化によって食欲が増減します。ドライフードは開封後1か月、できれば2週間ほどで消費できるサイズを選びましょう。酸化が進むと鮮度が落ちてしまうので、酸化防止剤や脱酸素剤などを入れて密封保存するのがおススメです。

 

また香りを味方につけることで猫のムラ食いを防ぐこともできます。猫用ふりかけやササミなどのトッピングや、かつお節をお茶パックに詰めたものをドライフードの容器に入れるのも有効です。

 

 

何でも食べられることで飼い主も猫もハッピー

猫の味の好みは、生後半年までの食事内容で決まると言われています。その間に同じものばかり食べていると好みが限られてしまい、新しい食べ物を避ける「ネオフォビア」という拒否反応を示すことがあります。

 

若くて健康なうちは問題がなくても、病気や加齢などでキャットフードを変更しなければならないときが必ず訪れます。その際は猫の病気におすすめのキャットフードから選ぶとよいでしょう。

 

ただ、食べ慣れているキャッフードが突然販売中止になる可能性もあります。子猫のときにできるだけ多様なフードの味を覚えさせておくと、将来フードを変更しなければならない場合も安心です。ただし急激な切り替えは胃腸に負担をかけます。変えるときは、新しいフードを10%の割合で増やしていくようにしましょう。

 

キャットフードへのこだわりが強い猫もいれば、飽きっぽい猫もいます。病気や体質などで特定のものしか食べられないなら話は別ですが、年齢や体調の変化によって必要な栄養量が変わります。臨機応変に対応することで、愛猫の健康を守ってあげてください。

 



にゃん事典トップページへのリンク

関連ページ

ドライ、ウェット、グレインフリーの違い
キャットフードのドライ、ウェット、グレインフリーの違いをまとめて、どれが猫にとって最適なのか考察しました。
グレインフリーとは
猫は肉食なので穀物に多く含まれる炭水化物をうまく消化することができず膵臓に負担がかかるというデメリットがあります。グレインフリーキャットフードのメリットはアレルギー対策、下痢・便秘対策、肥満予防です。選ぶ際は猫の年齢や状態に合わすことが大事です。
切り替え方のコツ
キャットフードを変える場合は、1週間かけて徐々に新しいキャットフードへ移行することが大事です。急に餌を変えると胃腸を壊したり、吐いたりします。
賞味期限
キャットフードの賞味期限は猫が安全に美味しく食べられる時間です。ただし時間が経過すると風味や質感が劣化するので、できるだけ早めに消費することが大事です。
適正な給与量
子猫は体重に200kcalをかけた数値、成猫は体重に80kcalをかけた数値が一日必要なエネルギー量です。それを元に2~3回に分けてキャットフードを与えるのがよいでしょう。各キャットフードの包装に100g当たりのカロリーが記載されているので、必ず参考にしてください。
酸化を防ぐ保存方法
キャットフードに含まれる脂質は酸素に触れると酸化し、猫の体内に蓄積して細胞をむしばんでいき、下痢やおう吐、発疹などの病気の原因となります。酸化をを防ぐには密封保存したり、できるだけ早く消費することが大事です。
保存場所と容器
キャットフードのドライタイプは一つの袋を長期間に渡って使用するため、適切な保存方法が必要です。また真空パックなど保存に適した容器を用いることで、品質の劣化をある程度抑えることができます。
食べない理由と対処法
猫がキャットフードを食べない理由は味の飽き・食器・環境の変化によるストレス・加齢・病気などが原因です。うまくキャットフードを食べさせるには、トッピングをつけたり、温めて臭いを強めたり、ローテーションで味に変化を混ぜたりすることです。
糞尿の臭い
臭いが強いキャットフードを食べると、その猫の糞尿の臭いも強烈になる傾向があります。茶カテキンが配合されるキャットフードは消臭効果があるのでおすすめです。ただし餌の切り替え方には気を付けてください。
フードボウル
猫が毎日使うキャットフード用のお皿(フードボウル)は、大きさ・深さ・重さ・材質の4点に注目して選びましょう。特に形状によって猫の髭があたったり、深すぎて食べにいことがあるので注意が必要です。
ねこまんま
白米に味噌汁や出汁を取った後の煮干し、かつお節、魚の骨などを混ぜた残飯がねこまんまです。ねこまんまは人間の残飯を用いるので、基本的にキャットフードの代わりにはなりません。しかし正しい知識を持って適切に作れば安全なキャットフードになります。
歴史
ペットフードは19世紀イギリスで生まれ、20世紀に入りアメリカを中心にドッグフードとキャットフードが販売されるようになりました。日本のキャットフードの歴史は1972年から始まり、経済成長に伴うペットブームと共に発展してきました。
免疫力
猫の免疫力を向上させることで寿命を延ばすことが可能です。良質なキャットフードで善玉菌を増やすか、運動・ストレス発散により猫の免疫力をつけることが可能です。市販の安価なキャットフードは添加物や炭水化物が多く含まれており、悪玉菌が増えるので逆効果です。
トッピング
猫がキャットフードを食べない時は市販の猫用オヤツやウェットフードをトッピングを与えることで食べさせることができます。また牛肉や豚肉など手作り食材なども効果的です。トッピングを充てる際の注意点もまとめました。
危険性の高いキャットフードの見分け方
猫にとって危険性のある原材料をまとめました。有名ブランドのキャットフードにも有害な食材が使われている可能性があるので、成分表・原材料一覧をしっかりと確認することが大事です。
防災
災害発生時にペットをどのように守るべきかの心構えをまとめました。キャットフードは1ヶ月分備蓄しておき、キャリーバッグや首輪・リード、常用している薬、飲み水、トイレなどの身のまわりのアイテムも準備しておくことが大事です。
フードパズル
フードパズルは猫の狩猟本能を刺激することでストレス発散につながります。またキャットフードを食べるペースが遅くなり満腹感を得られるのでダイエット効果も期待できます。ただしフードパズルの注意点を守らないと弊害が生じることもあるので気をつけましょう。
長生きのヒント
飼い猫を長生きさせるために必要なキャットフードのポイントをまとめました。また、食事以外で気を付けたいこととして病気のリスクや原因も紹介しています。最終的には猫のQOLは飼い主次第なので、後悔しない飼い方を心がけましょう。
獣医師推奨の秘密
獣医師推奨または監修されたキャットフードの秘密について解説します。普通のキャットフードとの違いは単に獣医師が関わっているかどうかで、原材料が何かどうか、品質が良いかどうかは関係ありません。