猫の下痢が続く原因とキャットフードでできる対策
猫が体調を崩すと、真っ先に現れるのが下痢と嘔吐です。中でも下痢は深刻な病気が隠れていることが多く、早期の対処が肝心になります。
でも元気も食欲もあるのに下痢をする、なんてときはキャットフードが原因になっているかもしれません。今回は猫が下痢を起こす原因と、キャットフードでできることについて見ていきたいと思います。
猫が下痢をする主な原因
感染
ウイルスや最近、寄生虫などに感染すると、下痢の他に嘔吐や食欲不振などの症状が見られます。他の猫に移ることもあるため、多頭飼いの場合は注意が必要です。
誤食
殺虫剤や洗剤などは中毒性の下痢を起こし大変危険です。保管場所や使い方に気をつけましょう。また長い紐、輪ゴム、食品ラップ、子供のおもちゃ、ボタンなどを食べてしまうこともあります。
人間の食べ物
猫は乳糖を分解する酵素がないため、牛乳を飲むと下痢になります。さらにネギやチョコレートなども中毒症状を引き起こします。基本的に人間が食べるものは猫に与えないようにしましょう。
ストレス
環境の変化、猫同士の相性、運動不足、近所で工事が始まったなど、猫のストレス要因は数え上げたらキリがありません。原因と思しきものを極力排除し、時間が解決するのを待つしかありません。
病気
消化器官の疾患や腫瘍、IBD、甲状腺の異常などが挙げられます。とくに子猫や高齢猫など抵抗力のない猫は様々な要因が絡み合い、病気を併発させるケースがあります。
キャットフードのコレが原因かも!?
上記以外にも、食事が原因で下痢になることがあります。
フードを変えた
いきなり新しいキャットフードに切り替えると、胃腸がその変化に追い付けずに下痢を引き起こすことがあります。質のいいプレミアムフードでも同じです。むしろ脂質が多い分、市販のフードより下痢になりやすいかもしれません。最初は1割程度を既存のフードに混ぜ、1週間ほどかけて少しずつ量を増やすのがキャットフードの切り替え方のコツです。
食物アレルギー
最もアレルギーを引き起こす可能性が高いのが、タンパク質と炭水化物です。充分に消化吸収できないことや、同じ食材を摂り続けることが発症リスクとなります。また化学物質や添加物に反応してアレルギーを起こすケースもあるようです。アレルゲンを特定するのは容易なことではありませんが、複数のキャットフードを与えている場合は、1種類ずつ食べさせながら様子を見てみましょう。
栄養不足による食べ過ぎ
穀物が多く、動物性タンパク質が少ないキャットフードを摂り続けると、猫は慢性的な栄養不足に陥ります。いくら食べても満腹にならないために食べ過ぎてしまい、結果的に下痢や嘔吐など消化不良を起こします。上質のタンパク質と脂質が含まれたフードであれば早い段階で満足感が得られるため、食べ過ぎを防ぐことができます。
下痢体質におすすめキャットフード
病院に行っても下痢の原因特定に至らないことはあります。そのときにできることは食事療法です。実際に下痢の症状に悩まされていた飼い主から評判が良いキャットフードを3つ挙げて、原材料や成分を詳しく見ていきたいと思います。
ヒルズ療法食 猫用 プリスクリプション・ダイエットi/d ドライ
消化器官の炎症による下痢や便秘、嘔吐などの症状に食事療法として用いられるキャットフードです。ドライ以外に缶詰も用意されており、臨床医学をもとに開発されています。オールステージに対応していますが、療法食にあたるため必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。
主原料にチキンが使われており、着色料や有害とされる酸化防止剤が不使用なので、比較的安心して与えることができます。ただし米やトウモロコシなどの穀類も多く、消化不良やアレルギーの原因になる可能性もあります。またビートパルプとセルロースは不溶性繊維のため、便秘の場合はさらに悪化させる危険性も考えられます。
原材料
チキン、米、トウモロコシ、動物性油脂、コーングルテン、ビートパルプ、セルロース、ポークエキス、亜麻仁、植物性油脂、ミネラル類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、イオウ、ヨウ素)、アミノ酸(タウリン、メチオニン、リジン)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
成分
水分8%以下、粗タンパク質35%以上、粗脂肪17%以上、粗繊維4.5%以下、粗灰分8%以下、リン0.75%以上、マグネシウム0.1%以下
カロリー:395kg/100g
内容量:500g / 2kg
原産国:チェコ
animonda インテグラプロテクト 猫用 胃腸ケア ドライフード
ペット先進国ドイツの最大手メーカー、アニモンダが手掛けています。2017年にリニューアルされ、ウェットとドライの2種類展開です。急性の下痢に対応した療法食で、推奨使用期間は1〜2週間とされています。動物病院に相談の上、症状が回復したら別のフードに切り替えましょう。
消化率を上げるために食物繊維の量を減らし、ナトリウムやカリウムなどの電解質を増やすことで、下痢による水分不足を補います。さらにミネラルバランスにも配慮し、ストルバイトとシュウ酸カルシウム結石の形成を予防します。
原材料
鳥肉粉(低灰分)、ライス、コーン、鳥タンパクハイドロール、鳥脂肪、牛脂、ビートパルプ、鳥レバー、サーモンオイル、卵(乾燥)、塩化ナトリウム、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖
成分
水分6 %、タンパク質31.5%、 脂肪21%、粗繊維2%、 粗灰分6.5%、 水分6%、タウリン450mg、ナトリウム0.55%、カリウム0.5%
カロリー:424kg/100g
内容量:300g
原産国:ドイツ
ナチュラルバランス グリーンピース&ダック ドライフード
ダックとグリーンピースを主原料にした、アレルギー対応の療法食です。ナチュラルバランスのフードは人工の着色料や防腐剤は一切使われていません。その安全性の高さは、アメリカ国内多くの動物園にフードを提供していることからも窺えます。
チキンや穀物といったアレルゲンになりやすい食材を極力排除しているので、アレルゲン特定に至らないときにも有効なキャットフードです。原材料に記載されている「自然風味」は、嗜好性を高めるために肉類を粉末にしたものを指します。尚、このフードには栄養サプリメントが配合されています。過剰摂取を避けるためにも、サプリメントを与える際は必ず獣医師に相談しましょう。
原材料
グリーンピース、ダックミール(乾燥肉)、新鮮なダック肉、キャノーラオイル、フラックスシード、自然風味、メチオニン、塩化コリン、タウリン、天然混合トコフェロール(ビタミンEで酸化防止)、亜鉛蛋白、ビタミンE、ナイアシン、マンガン蛋白、銅蛋白、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、一硝酸チアミン(ビタミンB1)、ビタミンA、ビオチン、ヨウ化カリウム、D-カルシウムパントテン酸塩、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、ビタミンB12、二酸化マンガン、ビタミンD、葉酸(ビタミンB)
成分
水分10%以下、粗タンパク質30%以上、粗脂肪12%以上、粗繊維4%以下、マグネシウム0.1%、リン0.9%
カロリー:338kg/100g
内容量:500g / 1kg /2.27kg
原産国:アメリカ
下痢は体からのSOS
下痢は、体が何らかの異常を訴えている緊急サインです。体の小さな猫にとって下痢による体力の消耗は一大事ですし、子猫や高齢猫は衰弱するペースが早いため一刻を争います。下痢は異常なことと理解して、すぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。
受診する際は、下痢の状態について獣医師から尋ねられます。形状(水状か形が残っているか)、量、色、臭い、頻度などをチェックしておきましょう。また便を持参しておくとスムーズに検査してもらえます。食品などが入っていた容器の流用は雑菌が混入するので、紙コップやラップなどに包んで持っていきましょう。
猫は体がしんどくても言葉で伝えることができません。さらに、それを悟られないようにする生き物です。下痢ぐらいで大げさな、と思うかもしれませんが、大きな病気が隠れている可能性は充分にあります。ちょっとした異変も見逃さないこと、とっさの行動力が愛猫の命を守ることを心得ておいてください。
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- 尿路結石
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- 雌猫は生殖器を維持と発情の過程において多大なエネルギーを消費します。そのため避妊手術を施すと、同じ量のキャットフードを与えていても太りやすくなります。肥満にさせないために、低脂質・低カロリーのキャットフードを選び、運動をさせることが大事です。
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